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写真1●日本経済新聞電子版関連のパネル討論会の様子。ビデオメッセージで古川亨氏が登場
写真1●日本経済新聞電子版関連のパネル討論会の様子。ビデオメッセージで古川亨氏が登場
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写真2●パネル討論会の参加者。小池良次氏(右から2人目)は米国から駆けつけた
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 日本経済新聞社は2010年2月24日夜、電子新聞「日本経済新聞 電子版」(関連記事)の発表に合わせて、「ネット時代のメディアとジャーナリズム」と題するパネルディスカッションを開催した。パネリストとして在米IT(情報技術)ジャーナリストの小池良次氏ら6人が登壇したほか、一般から募集したブロガーら約200人が出席した。

 最初に日経新聞の担当者が電子版のコンセプトについてプレゼンテーションを実施。続いて、パネリストとして出席予定だったが急きょ欠席となった慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の古川亨氏のビデオメッセージが放映された。古川氏は「ビジネスモデルとして有償のものを確立しようとする取り組みは良いことだ」としつつ、「(単にネットで記事を配信するのではなく)“ネットワーク”が持つ本質を踏まえて取り組むべきだ。日経新聞だって間違った情報を流すかもしれない。ネットの読者はTwitter(ツイッター)やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で記事に関する情報を共有している。記者が取材して、発信して、購読料をもらう、というだけで完結するのではなく、“ネットワーク”の本質を考えてほしい」と期待を述べた。

「全社員の3分の1がエンジニアでもいい」

 その後の議論は多岐にわたったが、焦点の1つが技術とメディアの関係だった(関連記事)。小池良次氏は、新聞の電子化では「紙かネットか」だけではなく、具体的な表示端末が鍵を握ると指摘。「画面サイズが約10インチのメディア表示端末にはiPad(アイパッド)やKindle(キンドル)などがあるが、まだ“勝者”が決まっていない状況だ。(この状況に臨機応変に対応するために)メディア企業に必要なのは、プログラマーであり、エンジニアだろう。新聞社の全社員の3分の1ぐらいがエンジニアでないと、表示端末の変化についていけないのではないか」と問題提起した。

 cybozu.net(東京都渋谷区)代表取締役CEOの椿奈緒子氏(関連記事)は、自身の経験を基に「そもそも日経はネットに力を入れていない感じがした。社内でネットが軽く見られているのでは」と指摘した。大手広告代理店出身の高広伯彦氏(関連記事)は「日経新聞電子版の担当者には、昔からネットに取り組んでいる顔見知りが多い。言わば社内で“虐げられていた”人たちが表舞台に出てきたんだ、という感慨がある」と語った。

 アジャイルメディア・ネットワーク(東京都渋谷区)代表取締役の徳力基彦氏は課金関連技術に言及。「日本ではパソコン向けの課金インフラがない。(新聞購読料決済の仕組みの確立などを通じて)そこが変わると大きい。実際に、携帯電話向け情報配信では“ポチっとな”で済む課金インフラがあるからこそ、事業として成立している」と指摘した。

 なお、このパネルディスカッションの様子は主催者がUSTREAMで生中継した。会場の内外からTwitter上に数秒ごとに盛んに意見が書き込まれ、当日中に1500件以上に達した(ハッシュタグは#mf224)。『Twitterの衝撃』(関連記事)などの著書がある津田大介氏が「この種のイベントでよくあることだが、iPhone(アイフォン)利用率が異様に高く、みんなパソコンに向かって書き込みをしている。自分の話を聞いてくれてないんじゃないかと思う」と話して会場の笑いを取る一幕もあった。