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写真●4月1日付でNECの社長に就任する遠藤信博氏(写真:都築雅人)
写真●4月1日付でNECの社長に就任する遠藤信博氏(写真:都築雅人)
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 NECは2010年2月25日、取締役執行役員常務である遠藤信博氏(56)の4月1日付の新社長就任と、2012年度までの中期経営計画「V2012」を発表した。取締役陣の中では最若手に近い、ネットワーク機器の新興国への売り込みで実績を残した遠藤氏を抜擢する。グローバル市場、特に新興国でのビジネスを強化する布石とみられる。

 NECが発表した中期経営計画「V2012」では、2012年度の売上高で4兆円(2009年度予測は3兆6600億円)、営業利益で2000億円(同600億円)と強気の数字を打ち出した。その原動力として期待するのが海外事業だ。同社の海外売上比率は2009年度で19%と低いが、2012年度までに売上高ベースで年平均12%成長を達成、1兆円とする。海外売上比率は25%まで高める。

 遠藤氏は2003年にモバイルワイヤレス事業部長に就任した後、携帯電話の基地局間を無線で結ぶ超小型マイクロ波通信システム「パソリンク」を、インドや中近東、南米、東欧、アフリカといった新興国に売り込むことに成功し、同分野の世界市場シェア1位の獲得に貢献した人物である。矢野薫代表取締役執行役員社長(66)は遠藤氏を後任とした理由について、「パソリンクで世界シェア1位を獲得した経験を活かせる遠藤氏が、NECをグローバル化させるのに最適と考えた」と説明した。

 中期経営計画の実現に向けた組織再編も実行する。クラウドコンピューティング事業を拡大するため、ITプラットフォーム事業と企業ネットワーク事業を統合したソリューションの提供が必要との判断から、サーバーやストレージ、ソフトなどを統括する「ITプラットフォームビジネスユニット」と、企業内ネットワーク事業を統括する「企業ネットワークソリューション事業本部」を統合し、「プラットフォームビジネスユニット」とした。

 また、今後の成長が見込める中華圏・アジア太平洋地域市場の営業力を強化するため、同地域向けの営業組織を独立させて「中華圏APAC営業本部」を新設、既存の海外営業部門である「米州EMEA営業本部」との二極体制とした。

 遠藤氏は1953年11月8日生まれの56歳。社内のリーダー研修で、韓国サムスングループ第二代会長の李健熙(イゴンヒ)氏の足跡を学んで感銘を受けたことから、李氏と同じ「傾聴」を座右の銘として挙げる。会見では、「事業は人でしか動かない。大切なのは意志や、コミュニケーションだ。傾聴、他人の意見に耳を傾けることを大事にしたい」(遠藤氏)と力説した。