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 ソフトバンクテレコムなど通信事業者5社は2010年3月10日,NTT東西のFTTH(fiber to the home)設備のうち複数のユーザーの光回線をまとめて収容している「OSU(optical subscriber unit)」を,異なる通信事業者が共用できるとする実験結果を公表した。今回の実験結果を基に,現在は最小8ユーザー単位でNTT東西が貸し出している光回線を「1ユーザー単位で借りることが可能」と,貸し出し方式の変更を迫る狙いだ。実験にはソフトバンクテレコムのほかに,イー・アクセス,KDDI,ソフトバンクBB,ビック東海が参加した。

 NTT東西のフレッツ光シリーズなどの光回線は,1本の回線を最大32ユーザーに対して,途中で分岐しながら提供する「シェアドアクセス方式」で構築している。ほかの事業者がNTT東西からFTTH回線を借りる場合,現在は通信局舎内で8回線ごとに分岐している「局内スプリッタ」に相互接続する方法を使っている。このため,8回線というのが最少の利用単位となっている。

 だが,NTT東西から最少の8回線分を借りても,獲得できるユーザーが少なければ,借用コストに対する収入を得ることができない。このことから,NTT東西以外の事業者がNTT東西の光回線を借りてFTTHサービスに参入する例は限られていた。

 こうした状況に対し,ソフトバンクテレコムやKDDIなどの事業者はFTTH回線を1分岐単位で貸し出すようNTT東西に要求してきた。1ユーザー単位での割安な貸出料金が設定されれば,現状よりも低リスクでFTTHサービスに参入できるようになるからだ。具体的には,32ユーザー分の回線を束ねて収容している「OSU装置にユーザーのトラフィックを事業者別に振り分けるスイッチを接続し,複数の事業者で共用させてほしい」としていた。

 これに対してNTT東西は,「OSUを共用すると,事業者間のトラフィックが相互に影響したり,速度などサービス・スペックを変更する際にも事業者間協議が必要となり,柔軟なサービス開発ができなくなる」として拒否していた。総務省の審議会でも,2008年3月に「1分岐単位での貸し出し方式は,現時点では必要不可欠とまでは言えない」との結論を出し,交渉は停滞していた。

1分岐単位で共用しても影響がないことを検証

 ソフトバンクテレコムなど5社は今回,1分岐単位での設備共用が問題ないことを示すために技術面と運用面で2種類の実験を行った。一つは,NTT東日本が実際に商用サービスに使っているOSUを使った実験環境での速度検証,もう一つはNTT東日本の設備を実際に借りて行った保守・運用面の検証である。

 これらの実験の結果,技術面ではインターネット接続のほか,速度保証が必要な0AB~J番号のIP電話サービス,マルチキャスト技術を使った動画配信サービスなども問題なく提供可能であるとした。また運用面では,故障対応,通信機器の交換,事業者間の連絡,申請受付などの体制を整備することが可能だとしている。

 5社は,NTT東西が2008年の審議会での検討当時に,貸し出しを拒否する理由としてあげた課題に対して,それぞれ反証を示すことで議論を再開したい考えだ。

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