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写真●金融庁の内藤純一 総務企画局長(写真:萩原 丈司)
写真●金融庁の内藤純一 総務企画局長(写真:萩原 丈司)
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 「2010年3月期からIFRS(国際会計基準)の任意適用が始まったこともあり、IFRSの理解は進んでいる。その一方で相当大きな誤解もある」。ASBJ(企業会計基準委員会)が2010年4月28日に開催した「第1回ASBJオープン・セミナー:IFRSの最新動向と我が国への導入」で、金融庁の内藤純一 総務企画局長(写真)はこう語った(関連記事)。

 金融庁は4月23日、「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」と呼ぶ文書を公開した。IFRSに関する17項目の誤解とそれに対する回答をまとめた(関連記事)。冒頭の発言は、講演の中で同文書に触れたときに出たものだ。講演では「上場会社はただちにIFRSが適用される」「非上場の会社(中小企業など)にもIFRSが適用される」「IFRSは徹底した時価主義」などの誤解を紹介。「各方面から寄せられた質問を整理してまとめた」と内藤氏は話す。

 内藤氏は、IFRSの導入は企業や投資家、日本の金融・資本市場にとって意義があると説明。特に日本の金融・資本市場にとっての意義を強調した。「東京市場の時価総額は1990年を100とすると、2009年末で113。同じ期間にニューヨークが4.4倍、ロンドンが3.3倍、アジア諸国が20倍以上に成長していることを考えると、非常に厳しい状況だ」と内藤氏は指摘。状況を打開するためには、「世界共通の会計言語を使うことで、海外投資家に対する透明性や比較可能性を確保し、国際的な魅力の向上や競争力の強化につなげていく必要がある」と強調した。

 ただし、IFRSの導入に当たり、解決すべき課題は多い。内藤氏は課題として、(1)日本基準とIFRSとのコンバージェンス(収れん)の継続、(2)IASB(国際会計基準審議会)に対する積極的かつ効果的な意見発信、(3)日本企業の実態を適切に反映した高品質な会計基準の実現、(4)IFRSの実務への対応、教育・訓練などを挙げた。

 特に(2)に関して、「日本として、能動的にIFRSの策定に絡んでいく姿勢が大切だ」と内藤氏は話す。「これまで国際標準への対応というと、日本は受け身の姿勢を採る一方だった。IFRSの策定に能動的に参加して、日本の慣習に有利な形にしていくことが重要」とする。

 会場からは、「IFRS強制適用の是非を決める2012年まで待っていては、企業は対応が間に合わないのではないか」という意見が出た。内藤氏はこれに対し、「課題の中で重要なのは、実務対応や教育・訓練がどの程度進んでいるか。IFRSを円滑に導入できる環境が整っているかがカギになる。2012年の段階でどこまで知識が成熟しているかなどを見極めつつ、柔軟なスケジュールで考えていく」と述べた。