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 総務省の「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」は2010年5月10日、第6回会合を開催した。今回の会合ではNHKがプレゼンテーションに参加し、ラジオの課題やV-Low帯マルチメディア放送に関する基本的認識を説明した。

 V-Low帯マルチメディア放送に関する基本的な認識として、以下の指摘を行った。「視聴者・利用者の利便性やニーズを勘案すれば、現在の音声放送サービスを基本に、ダウンロードなど新たな機能の実現が必要」「国民全体がメリットを享受できるように全国にサービスを届けるインフラを構築するとすれば1000億円を超える送信設備投資が必要とされ、これをどこが負担するのかが大きな課題」「国民の安心・安全に貢献し、多様な受信ニーズに応えるためには、(一人1台となった)携帯電話端末や車載情報端末などへの搭載が必須」「仮にNHKが参入するとすれば、NHKが実施している音声放送やワンセグとのサービスの連携の可能性を考慮し、県域、広域、全国向けサービスを柔軟に実施できる環境が必要」の4点である。

 このうち第1点の「現在の音声放送サービスを基本に」に関連して、現在のラジオ放送は、各種の課題はあるものの各地域において情報共有の媒体になっていることなどから、サイマル放送を一概に排除するべきではないと考えていると述べた。

 第2番目の1000億円を超える送信設備投資とは、現行のFM放送が500局を超える局数で世帯カバー率98%しており、これを踏襲した送信設備の投資を行った場合の想定金額である。これを誰が負担していくのか、そして時系列的に、どのように展開していくのかが大きな課題と指摘した。

 なお、NHKがV-Low帯マルチメディア放送など新しい放送に何らかの形でコミットするためには、放送法の改正(現行では、NHKが行う業務が列挙されており、V-Low帯マルチメディア放送に関する記述がない)が必要であり、こうした新規事業に受信料を投じていくことについて視聴者の意見を聞くなどしてNHKとしての方針を固めていく必要があるという認識を示した。

 今回のNHKのプレゼンや研究会メンバーとの質疑応答の内容は、NHKの立場を率直に説明するものであり、ラジオの今後を真剣に検討したいという意欲を強く感じるものだった(詳細は、日経ニューメディア本誌でも取り上げる予定)。