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新刊『死ねばいいのに』のiPad版を手にする、著者の京極夏彦氏
新刊『死ねばいいのに』のiPad版を手にする、著者の京極夏彦氏
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ハードカバーは5月15日に発売済み。iPad版のほか、iPhone版やパソコン版、携帯電話版も発売する
ハードカバーは5月15日に発売済み。iPad版のほか、iPhone版やパソコン版、携帯電話版も発売する
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 講談社は2010年5月20日、京極夏彦氏の小説『死ねばいいのに』をiPad向けの電子書籍として発売すると発表した。同書の書籍版は、5月15日に四六判ハードカバーで1700円(税別、以下同じ)で発売しており、「書籍の新刊を、刊行とほぼ同時にデジタル化するのは初めて」(講談社 代表取締役副社長の野間省伸氏)。

 iPad版の価格は900円で、発売後2週間はキャンペーンとして700円で販売する。アップルによる審査が通り次第発売する考えで、6月上旬までの発売を目指している。iPad版のほかにiPhone版、パソコン版、携帯電話版を用意し、iPhone版とパソコン版はiPad版と同価格。携帯電話版は1章当たり100円(全6章)とし、第1章は無料とする。iPadで同書を読むのに使用する電子書籍リーダーアプリは、講談社の関連会社が開発したもの。縦組みでの小説閲覧のほか、同書iPad版の付録であるイメージ映像6本の視聴も可能。

 iPad版を発売する背景について野間氏は、「今回は大勢の読者に支持をいただいている京極氏に協力いただき、実験的に電子書籍とはどういうものかを読者に体感いただきたいと思っている。価格についても社内で原価計算のシミュレーションを行い、国内外の既存の電子書籍における価格設定も参考にして実験的に定めた。今後はiPadだけでなく、国内外のさまざまな電子書籍端末に電子書籍を出版し、色々な形で読者に楽しみを提供したい」と語った。

 京極氏は、「電子書籍の話が急に決まったわけではないが、幸いなことにiPadが私の本と同時期に発売されることになり、良い機会と思い実験台を買って出た。講談社から電子書籍の試作品を見せてもらい、まだ完成品ではないものの電子書籍として最低限満足いただけるものと判断したのでOKした」と背景を語った。その上で、「実験だから失敗するかも知れないが、それで何か損害を被っても大きな失敗にはならないだろうし、実験台だから仕方ない。電子書籍の新しい局面を作り上げるために、向くべき方向を向いて第一歩を踏み出した。まだ考えるべきことは多くある」と語り、電子出版することの意義を強調した。

 講談社は同書のほか、いくつかの書籍で電子出版を試みる予定。5月12日には五木寛之氏の『親鸞』上巻を、同社Webサイトで1カ月限定で無料公開しており、無料期間の終了後に電子書籍として展開することを検討中。また、2010年秋に出版予定の京極氏の作品も、電子書籍で配信予定とする。これらの結果を踏まえて、電子出版に向く書籍の選定や販売価格の設定、著者や関係者への利益配分の仕組みといったノウハウを取得していきたいとする。