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写真●「BAカンファレンス2010」のパネルディスカッションの様子
写真●「BAカンファレンス2010」のパネルディスカッションの様子
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 「ビジネス部門にいたころも、ビジネスアナリシス(BA)と呼べる仕事を担当していた。その経験を踏まえて、BAを担当するビジネスアナリストは情報システム部門に置いたほうがよいと思う」。日産自動車 グローバル情報システム本部エンジニアリングシステム部の山本 泰司氏は、2010年6月16日にIIBA日本支部が開催した「BAカンファレンス2010」のパネルディスカッション(写真)でこう語った。

 BAは経営やビジネス上の課題を明確にして、ITをはじめとするソリューションに橋渡しする業務分析・要求分析のこと。経営とITのギャップを埋める重要な作業として、BAの知識体系である「BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)」とともに注目を集めている。IIBA日本支部はBABOKを策定しているカナダIIBA(International Institute of Business Analysis)の日本拠点として、2008年12月から活動している(関連記事1関連記事2)。

 BAカンファレンスのパネルディスカッションでは、パネリストとして日産の山本氏と、みずほコーポレート銀行 ITシステム統括部の富澤 龍一氏が登壇。冒頭の山本氏の発言は、モデレータを務めたIIBA日本支部研究担当理事の宗 雅彦氏の「BAを担うのはビジネス部門が望ましいか、それともシステム部門か」という問いに応えたもの。経営とITの橋渡し役を担うビジネスアナリストはビジネス、IT双方の知識やスキルが求められる。このため、BAを担当するのはビジネス部門、システム部門のどちらもあり得る。

システム部門のほうが全体を俯瞰できる

 山本氏はシステム部門のほうが望ましいとした理由を、「会社全体の業務プロセスを俯瞰して見ることができるからだ」とする。「ビジネス部門からシステム部門に移って感じたのは、システム部門は言ってみれば“小さな本社”だということだ。ビジネス部門にいた時には、担当分野の動きは深く把握できる一方、隣の部門が何をやっているかが見えなかった。システム部門にいると、会社全体の動きが見えてくる」(山本氏)。全体最適の視点が求められるBAでは、システム部門のほうが有利ということだ。

 富澤氏も「BAはシステム部門が担うべきと考えている」と山本氏と同意見だった。「BAの作業そのものは必ずしもITにかかわらないケースもある。だが多くの場合、解決策としてITを使うので、ITの知識が必要になる。海外の例を見ても、ビジネスの人が新たにITを学ぶよりも、ITの人がビジネスを学ぶ方がうまくいきやすい」と理由を説明した。

 山本氏は別の理由として、IT分野の技術進歩の速さを挙げた。「ここ最近でもiPadやiPhone、オープンソースのアプリケーションソフトなど、次々に新たな製品や技術が出てくる。自社が抱える課題を解決するために、こうした新たな製品や技術をどう生かすかを考えるのもビジネスアナリストの重要な役割だ。ビジネス側にいると、ITの新たな動きに乗り遅れてしまう恐れがある」と山本氏は話す。

 ただし、システム部門がBAを担う場合も「すべてを中央集権的に管理するか、管理機能をある程度現場にも置くか、バランスを考える必要がある」と富澤氏は指摘する。「すべてを中央に置くと、あまりに息苦しくなってしまう。かといって業務部門に近いところにシステム部門の機能を分散させると、部分最適に陥ってしまう」(富澤氏)。富澤氏が個人的な考えとして提案したのは、「基本的にITは中央集権的に管理する。ただし、ビジネスアナリストはグローバルなシステム部門に所属しつつ、ビジネス側の部門に席をおいて、ふだんはビジネス領域で活動する」というものだ。