PR
写真●マッキンゼー・アンド・カンパニー BTO日本共同代表の萩平和巳氏
写真●マッキンゼー・アンド・カンパニー BTO日本共同代表の萩平和巳氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「米IT企業のパッケージに自社のビジネスを合わせるのではなく、日本企業が持つ業務ノウハウを体系化したクラウドサービスを構築し、世界に打って出よう」---。2010年6月29日、「エンタープライズクラウドフォーラム」の基調講演に、マッキンゼー・アンド・カンパニー BTO日本共同代表の萩平和巳氏(写真)が登壇。クラウドサービスの将来像を解説するとともに、日本が世界のITリーダーの座を奪還するために国内IT業界が変化すべき方向について指南した。

 萩平氏は将来、金融や流通などの業種に特化した基幹システムを提供する「業種クラウド」が登場すると予想する。そして、「業種クラウドの時代に、最も重要となるのはPaaS(Platform as a Service)である」と指摘する。SaaS(Software as a Service)は、「出来合いのアプリケーションをサービスとして提供することで、初期導入コストを抑えるメリットがある。しかし、セキュリティやカスタマイズ性の乏しさから基幹業務への利用は進んでいない」(萩平氏)。また、IaaS(Infrastructure as a Service)についても、「インフラのキャパシティに柔軟性を持たせることができるが、現状では既存システムとの連携が課題となり、やはり基幹システムとしては利用されていない」(萩平氏)。それに対して、PaaSは基幹業務への具体的な利用はまだ少ないものの、「基幹系アプリケーションをクラウド展開するのに向いている」(萩平氏)。

 萩平氏の考えるPaaSの条件とは「業務ノウハウが凝縮されていること」「テンプレート化されたAPIやアプリケーションモジュールを活用したシステム構築が可能であること」。ここで萩平氏は、「日本の金融業、流通業などの業務ノウハウを、業種クラウドとしてPaaS展開することは、米IT企業にはできない。この点では国内ITベンダーに強みがある。国内のユーザー企業とITベンダーが協業して業種クラウドを構築し、それを世界展開していけば、日本が世界のITリーダーの座を取り戻せる可能性がある」と強調した。

 ユーザー企業側にも、自社の業務をモジュール化して他社でも利用できる形にできたら、大手ベンダーと共同事業化し、業界や社会のインフラを構築したいという期待がある。「業種クラウドや社会インフラとしてのクラウドが登場する時代には、ユーザー企業がクラウド市場のけん引役になる。もう、米ITベンダーのパッケージに業務を合わせる時代ではない。ユーザー企業は、国内IT企業をパートナーとして、自社のノウハウをクラウドサービスとして世界展開することを考えよう」(萩平氏)。