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 J-SOX(日本版SOX法)に対応した3月期決算企業の内部統制報告書の提出期限が2010年6月末で終了した。内部統制が有効でない旨を示す「重要な欠陥」に該当する内容を開示した企業は22社で、前年に比べ半分以下に減った。

 3月期決算企業にとって、内部統制報告書の提出は2回目となる。内部統制の整備・運用が終了しないなどの理由で、監査人が「意見不表明」とした企業はなかった。J-SOX初年度に重要な欠陥に該当する開示をした企業は56社だった。

監査人の指摘で有価証券報告書を訂正

 重要な欠陥を開示した主原因としてもっとも多かったのは、監査人の指摘などにより有価証券報告書などの訂正をした企業だ。

 電子部品製造仲介のKFE JAPAN、試作モデル開発のアーク、レジャー施設運営のオメガプロジェクト・ホールディングス、建設業の塩見ホールディングス、通販業や鉱山業を傘下に持つジパング・ホールディングス、アルミダイカスト事業や食品流通事業を傘下に持つ東理ホールディングス、建設業の東邦グローバルアソシエイツ、システム構築のフライトシステムコンサルティング、飲食チェーン運営のホッコク、自動車用プレス部品のユニプレス、貴金属リサイクルの中外鉱業、などが該当する。

 経営者や社員の不正を重要な欠陥の主要な原因として挙げたのが、近畿日本鉄道、貴金属のシーマ、自動車部品販売の日発販売(ニッパン)、粉砕機・破砕機製造のプラコーの4社である。近鉄やニッパンは不正行為の発覚により、09年3月期に「内部統制は有効だった」として提出した「内部統制報告書」を訂正し、10年3月期決算も重要な欠陥を開示している。

「統制環境」の不在で重要な欠陥も

 J-SOXの対象期間中に、組織体制や業務の変更を受けたことが、重要な欠陥につながった企業もあった。システム開発のTCBホールディングスが「期中の企業合併により、評価作業が終了しなかった」としている。

 RFID事業を主とするイー・キャッシュは、内部統制の整備状況にかかわる記録が欠けていることを重要な欠陥の理由とした。原因として期中に、子会社の設立や持分法適用関連会社の増加といった事業再編があり、内部統制の整備状況の記録の整備に、経営・財務の担当者といった経験者を充てることが難しかったとの趣旨を内部統制報告書に記した。

 卸売業のシンワオックスは、「当初、内部統制の評価対象でなかった海外の子会社が、年度中に業容や規模が変化したことによって決算・財務報告プロセスの指導、周知徹底などができなかった」としている。ヘリオステクノホールディングは、「期間中に事業譲渡を受けた企業(ナカンテクノ)の親会社が民事再生手続き中で内部統制が存在しなかった」などの理由で、「ナカンテクノの全社的な内部統制のリスク評価と対応について、整備および運用上の不備が存在していると判断した」との趣旨を発表した。

 システム開発のモジュレは、5月期決算から3月期決算に変更。2010年1月14日に「訂正内部統制報告書」を提出し、2カ月しか準備期間がなく十分に内部統制を整備できなかったとしている。

 このほか建設のイチケンは、10年3月に締結した1件の工事請負契約について、受注に対して社内の審議不十分や契約内容の審査不足、営業管理規定の整備不十分といった「整備および運用の不備」の状況が判明し、財務諸表で偶発債務の注記や決算公表の遅延が起こったことを重要な欠陥とした。

 輸送関連部品製造の小糸工業は、財務報告に直接影響を及ぼさない不祥事を、重要な欠陥の理由に挙げている。同社は10年2月、航空機シートの設計・製造業についての不正について国土交通省より改善勧告を受けている。これについて、内部統制の基本的要素の一つである「統制環境」での全社的な内部統制が十分に整備・運用されていないことや、「情報と伝達」「モニタリング」が正常に機能しなかったとして、「当事業年度末日までに財務報告において虚偽記載等は認められないものの、財務報告に重要な影響をおよぼす可能性が高いことから重要な欠陥に該当すると判断した」と発表した。

 10年3月1日から31日の間に決算を迎えた企業は2627社あり、重要な欠陥を開示した企業の割合は1%に満たなかった。2年連続重要な欠陥を開示した、あるいは1年目は意見不表明で今年重要な欠陥を開示した企業は10社あった。