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 「自ら制作したサイトを解析する」「身銭を切る」---。「アクセス解析のデータを見る目を養うにはどうすればいいのか?」という問いへの答えは、ユーザー心理を含めた構造把握こそ大事というものだった。2010年7月13日に開催された「NETMarketing Forum 2010」において開かれた、アクセス解析の活用にテーマにしたパネルディスカッション「“個客”データを生かしたサイト改善の勘所」での一幕である。

写真1●「NETMarketing Forum 2010」でアクセス解析をテーマに3氏が討論(撮影:新関雅士)
写真1●「NETMarketing Forum 2010」でアクセス解析をテーマに3氏が討論
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 アクセス解析の“達人”としてパネリストに名を連ねたのは、ユーザー代表が、全日本空輸 営業推進本部WEB販売部サイトマネージメントチームリーダーの高柳直明氏と、楽天 編成部アクセス解析・最適化推進チームリーダーの清水誠氏の二人。インテグレーター代表は、モバイルマーケティングソリューション協議会 (MMSA)で理事長を務める、ゆめみ社長の深田浩嗣氏である。モデレーターは、Webデザインなどを手がけるロフトワーク代表取締役の林千晶氏が務めた。

サービスに改善を、組織に横串を

写真2●全日本空輸 営業推進本部WEB販売部サイトマネージメントチームリーダーの高柳直明氏(撮影:新関雅士)
写真2●全日本空輸 営業推進本部WEB販売部サイトマネージメントチームリーダーの高柳直明氏(撮影:新関雅士)
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 まず全日空の高柳氏が、ユーザー代表の一人として、アクセス解析の結果を基にサイトのデザインを継続的に改善した事例を紹介した。「ANA公式サイト」での販売額は、2009年度に3400億円ほど。高柳氏は「この売り上げを2倍にするには、アクセス数を2倍にするか、CVR(成約率)を2倍に上げるかのいずれかなる。アクセス数を倍増させるプロモーションはコストも手間もかかる選択だけに、サイトの改善でCVR向上を目指した」と、アクセス解析に注力した理由を語った。

 具体的な改善策としては、ボタンの配置や色のパターンを複数種類用意し、様々なパターンを実地検証する手法を採用した。20数種類のパターンを試しアクセス解析の結果が良いものに絞り込んでいった結果、CVRが向上したという。

写真3●楽天 編成部アクセス解析・最適化推進チームリーダーの清水誠氏(撮影:新関雅士)
写真3●楽天 編成部アクセス解析・最適化推進チームリーダーの清水誠氏(撮影:新関雅士)
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 続いて楽天の清水氏が、所属する「アクセス解析・最適化推進チーム」の活動を説明した。同部署は、アクセス解析を専門とする部署で、楽天のサービス群を横断的に把握するために、アクセス解析の実現に取り組んでいる。

 清水氏が心を砕いたのは、楽天グループで約40に上る各サービスに対するアクセス解析の標準化だ。「楽天市場」のような歴史の長いサービスもあれば、買収によって得た新顔のサービスがある中で、全サービスを同じ指標で検証・評価するための標準化を実施した。「サービス間のシナジー効果も含めて解析する必要があった」(同氏)という。

写真4●モバイルマーケティングソリューション協議会 (MMSA)で理事長を務める、ゆめみ社長の深田浩嗣氏(撮影:新関雅士)
写真4●モバイルマーケティングソリューション協議会 (MMSA)で理事長を務める、ゆめみ社長の深田浩嗣氏(撮影:新関雅士)
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 そのために楽天は、2005年から段階的に米Adobe Systemsのアクセス解析プラットフォーム「Omniture SiteCatalyst」製品群を導入。eラーニングやワークショップ、定期開催の質問イベントなどを使いながら、「サイトと解析ツール自体を改善しながら手法を標準化し、楽天グループ内へ展開した」(清水氏)。

 続いてゆめみの深田氏は、インテグレーターとしてモバイル向けアクセス解析を手がけることで得たノウハウを披露した。アクセス解析の前に知っておくべき知識として、「携帯電話は、メールマガジンに限定商品を載せるなど“きっかけ買い”をあおる意志決定時間が短いメディア」「携帯電話ユーザーはページ遷移を嫌うので、1ページの情報量が多く縦に長いサイトの方がCVRは高い」などの経験則を開示した。