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写真●シスコの平井康文副社長(撮影:皆木優子)
写真●シスコの平井康文副社長
(撮影:皆木優子)
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 東京・品川で開催中の「IT Japan 2010」の2日目にあたる2010年7月15日,シスコ副社長の平井康文氏が「イノベーション エクセレンス~ニューノーマル時代における企業成長エンジン~」と題し、企業成長を実現するコラボレーションの重要性について講演した(写真)。

 まず平井氏は、企業経営を取り巻く環境の変化を、インターネットの状況を踏まえつつ説明した。現在のビジネス環境は非常に複雑になっており、その特徴は次の4点にまとめられるという。

  • 企業の業種や国・地域を越えたグローバルなバリューチェーン
  • ITのコンシューマ化現象(例えば、個人で使うiPhoneを企業内に持ち込んだりする)
  • 情報のオーバーロード(検索エンジンで大量の情報を入手できるようになったが、本当にほしい情報を見つけるのに時間がかかる)
  • 携帯端末による企業のモビリティの向上

 こうした状況の中、企業の枠を越えたビジネスプロセスがますます重要になってくると平井氏は指摘する。企業内部にとどまらず、サプライヤーやベンダー、その先にある顧客、さらには地域社会との連携が必要になるという。

 続いて平井氏は、今やインターネットは新しい社会基盤になったと主張、その成長について説明した。

 「シスコでは、2014年までにインターネットのトラフィックが47エクサバイト、今の4倍に達するという見通しを立てている」(平井氏)。さらにトラフィックの中でもビデオのトラフィックの伸びが著しく、2013年にはコンシューマ向けトラフィックの90%がビデオで占められるという。また、ビジネス向けトラフィックでも、テレビ会議などで映像トラフィックの伸びが著しく、4年で10倍に膨らむとした。

 また、インターネットにつながるデバイスの数や種類も今後増えていく。今インターネットにつながるデバイスは約3億台と言われるが、数年で140億台のデバイスに膨らむと予測されているという。すでにPCや携帯電話機、スマートフォン、テレビ、ゲーム機などはインターネットにつながっている。これらに加え、家電、自動車、電車などの様々な交通機関がIPv6でつながるのが当たり前の世界がもうすぐ到来するとした。

 さらに、トラフィックやデバイスの量だけではなく、インターネットの役割自体も変わってくるという。これまでインターネットはデータを転送する土管という役回りだったが、これからはメディア体験を実現するプラットフォームへと進化を遂げていくとした。こうした背景から、「シスコでは次世代のインターネットを『メディアネット』と呼んでいる」(平井氏)。

大事なのは「三つのC」

 次に平井氏は、こうした環境のなかで、企業がどのようにしてパフォーマンスを最大化していくのかを、シスコの事例を踏まえながら紹介した。

 平井氏は、企業の成功モデルを分析すると、ある共通点があるという。それは、イノベーションとオペレーショナルエクセレンスを両立させ、うまくバランスをとっている点だと指摘する。

 オペレーショナルエクセレンスについては、すでに各企業がERP(統合基幹業務システム)の導入、サプライチェーンの再構築、CRM(顧客関係管理)システムの新規開発などの努力によって十分なレベルにまで高められており、もう飽和状態にあるという。

 そこで今後は、イノベーションによる生産性向上に注目していくことが必要だとした。そのうえで、イノベーションを実現する手段として重要になるのが、コラボレーションであると平井氏は主張する。「コラボレーションを理解するうえで重要なのが『三つのC』、つまり、コネクション、コミュニケーション、コラボレーションだ」(同氏)。

 まずコネクションは情報を伝達できるようにつながっている状態のことを指す。コミュニケーションは、コネクションを使って情報を伝達すること。コラボレーションは、コミュニケーションを前提として協調作業をする段階である。

 さらにコラボレーションの次に重要な段階があると平井氏は指摘する。「実際のプロジェクトでは、プロジェクト単位で人が集い、成果を出して解散し、また新たなプロジェクトが誕生するというサイクルになる。このサイクルを通して得られた経験、ノウハウを『ラーニング』によって組織に還元しなければ、コラボレーションの進化はそこで止まってしまう」(平井氏)。

 同社のクラウド戦略についても言及した。

 現在日本では、ITインフラのコストの77%が既存システムの維持に充てられ、新規投資は23%にとどまっているという。既存システムの維持コストをできるだけ減らし、新規の投資に回すことで同じコストでも効果が最大にできると指摘した。

 こうした背景から、既存システムの統合、標準化、簡素化が強く求められており、そのためのソリューションとしてクラウドが注目されていると平井氏は説明した。

 クラウドは大きくパブリッククラウドとプライベートクラウドに分けられるが、「今後は両方を連携させたハイブリッド型になっていく」(平井氏)との見通しを示した。さらに、そうしたクライド同士を統合するための上位のクラウドも生まれてくると予測する。

 平井氏は、今後同社が目指す方向として、こうしたクラウドサービスを提供するプロデューサーになっていくと述べた。

 ここで、クラウドを利用したコラボレーションの実例として、同社が提供しているSaaS型のWeb会議システム「WebEx」のデモを披露した。WebExでは、インターネットとブラウザを用意するだけで、Web会議システムを実現できる。iPhoneやBlackBerryなどのスマートフォン、iPadにも対応している。また、デモの中で、同社が先週発表したAndroidベースの企業向け7型タブレット端末「Cius」についても触れた。

 最後に平井氏は、「今注目を集めているクラウドベースのサービスは大きな効果をもたらし、さらにコラボレーションの分野で企業が力を入れていけば、最終的には効率を高め企業価値を向上できると確信している」と述べて講演を締めくくった。