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NTTデータ先端技術チーフコンサルタントの大塚弘毅氏
NTTデータ先端技術チーフコンサルタントの大塚弘毅氏
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 「仮想化導入の“壁”となるのは、経営判断よりも変化を嫌う現場。それを打破するには、従来のノウハウを生かす手法や導入のメリットを開発や運用の担当者に説く必要がある」。2010年8月3日開催の「仮想化フォーラム2010 Summer」で、NTTデータ先端技術チーフコンサルタントの大塚弘毅氏が講演。仮想化導入を阻む壁となる要因を3点挙げ、それぞれの突破法を紹介した。

 大塚氏が例示した壁は、(1)予想外に高額な見積もり、(2)物理リソースに慣れた現場の抵抗、(3)縦割り型の組織、の3つ。経営判断で仮想化によるコスト最適化を図ったとしても、これらの壁が仮想化環境の導入や活用を妨げる要因になるとした。

 (1)の高額な見積もりは、信頼性やリソース不足を案じるあまりに、リソース過剰な仮想化環境を招きがちな事例を指す。物理サーバー間での仮想マシンの動的な移動や冗長化などを施すと、ライセンス負担やストレージ装置のコストがかさむ。リソース不足に陥らないよう物理リソースを多めに用意すると、使用率が低下してコスト削減効果は少なくなる。「使用率の目安は80%だが、実際の提案ではリソース不足を懸念して50~60%の使用率を前提に見積もることが多い」(大塚氏)。

 納得感のあるコストで仮想化を導入するには、可用性の割り切りや小規模導入からの段階的な拡大、リソース最適化ツールによる事前評価やチューニングなどが効くという。

現場の変化は最小限に

 (2)の現場の抵抗は、仮想化のデメリットに対する過剰な心配と、従来のITスキルが通用しなくなることへの不安が背景にある。「実情以上に『アプリケーションの対応状況が弱く、I/O性能に不安があり、データベース利用には不向き』という思い込みで仮想化技術を見る現場がまだまだ多い」(大塚氏)という。また現場にとってはシステムの正常稼働が最大の目的だとし、「仮想化利用による投資の全体最適化は、現場にとって目指すべきゴールではない」(同氏)という組織運営上の問題がある。

 大塚氏が現場の抵抗を和らげる手法として挙げたのは、「必要なITスキルの変化を最小化する」と「仮想化技術者を増やす」という両極にあるもの。

 サーバー仮想化であれば既存のノウハウやライセンス資産を活用できること、米シスコシステムズの仮想スイッチ「Cisco Nexus 1000V」の採用などでネットワーク管理者のスキルに継続性を持たせられること、といった現場の現行スキルを考慮した仮想化が得策だとした。

 仮想化技術者を増やす方策としては、大塚氏がNTTデータ先端技術で携わるVMware関連資格「VCP3(VMware Infrastructure 3.5対応)」と「VCP4(vSphere 4対応)」を紹介。「日本でVCP3、VCP4を取得した技術者は、世界全体のVCP3/4取得者の数%。他のIT資格では世界全体の20%程度の取得率があることを考えると、仮想化資格はまだこれから」だという。

利用に徹しきれる分かりやすい利用フローを

 (3)の縦割り組織は、複数の組織がリソースを共用する仮想化環境の考え方が多くの企業でなじまないことを指す。利用申請の手間や他部署とのリソース共用に対する抵抗感、セキュリティに対する不安が「サイロ型の仮想化環境を招く」(大塚氏)という。

 これを打ち破るには、仮想化環境の全社共用によるスケールメリットを前提に、仮想リソース利用の敷居を下げ、課金制度や利用レポートといった目に見える利用フローを前面に打ち出すべきとした。ポイントは「不安を解消しようと内部構造を明らかにすると、利用に徹しきれない」(大塚氏)という副作用があること。利用に際して疑問が生まれないユーザー・インタフェースの整備が肝要だとした。

 ただし、これらの壁の存在に配慮したうえで「現場は大事だが、ある程度はトップダウンで進めるべき」と大塚氏は強調する。速やかな仮想化環境への移行で得られるメリットは、時間の経過とともに相対的に減少するからだ。その際に手を組むべきは「利用現場の感情に配慮した提案ができるシステムインテグレータ」だと大塚氏は指摘し、講演を締めくくった。