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写真1●パネルディスカッションの様子
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写真2●アイ・ティ・アールのシニアアナリスト甲元宏明氏
写真2●アイ・ティ・アールのシニアアナリスト甲元宏明氏
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写真3●NTTコミュニケーションズのビジネスネットワークサービス事業部販売推進部長 小原英治氏
写真3●NTTコミュニケーションズのビジネスネットワークサービス事業部販売推進部長 小原英治氏
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写真4●NTTデータのビジネスソリューション事業本部プラットフォーム&サービスBU クラウドサービス統括部長である中井章文氏
写真4●NTTデータのビジネスソリューション事業本部プラットフォーム&サービスBU クラウドサービス統括部長である中井章文氏
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写真5●NTT東日本のブロードバンドサービス部アライアンス推進担当部長 滝澤正宏氏
写真5●NTT東日本のブロードバンドサービス部アライアンス推進担当部長 滝澤正宏氏
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 2010年10月18日に開催されたITpro EXPO 2010の特別講演「動き出したNTT版クラウドの真価」第2部で、NTTグループ事業会社によるパネルディスカッションが開催された。日経コミュニケーションの河井保博編集長による司会のもと、IT調査会社であるアイ・ティ・アールのシニアアナリスト甲元宏明氏、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)のビジネスネットワークサービス事業部販売推進部長である小原英治氏、NTTデータのビジネスソリューション事業本部プラットフォーム&サービスBU クラウドサービス統括部長である中井章文氏、NTT東日本のブロードバンドサービス部アライアンス推進担当部長である滝澤正宏氏の4人が出席。各社が運営してきたクラウドサービスの経験を基に、ユーザーの利用動向や課題、今後の方向性などを語った。

 パネルディスカッションの冒頭では各社が、現在手がけているクラウドサービスをそれぞれ紹介。NTTコムの小原氏は「BizCITY」ブランドで展開するサービスを説明した。ICT(情報通信技術)のアウトソーシングや、ユーザー企業の社員がどこにいても業務システムにアクセスできる環境を整備する「ユビキタスオフィス」など、アクセス回線とVPN(仮想閉域網)、クラウド基盤、アプリケーションを統合的に提供しているとした。

 続いてNTTデータの中井氏が「BizXaaS」ブランドで提供中のクラウドサービスを解説。同社はパブリッククラウドを利用した企業に対して、業務アプリケーションやIT基盤、データセンターを組み合わせる「BizXaaSプラットフォームサービス」を用意しているという。一方「プライベートクラウドを構築し自社システムに最適化したい」といったニーズを持つ企業に対しては、コンサルティングやマイグレーションサービスを組み合わせた「BizXaaS構築・運用サービス」を提供中である。

 NTT東日本が手がけるクラウドサービスの一つとして滝澤氏が挙げたのは、フレッツ回線の利用者がオンラインで市販のパッケージソフトを購入・ダウンロードできるサービス「光ソフト」だ。滝澤氏は「フレッツ利用料とソフト利用料を一括して課金するのでユーザーにとっては安心感があり、パッケージを販売する側にとっても“手離れの良い”仕組みになっている」と述べた。

 サービス紹介に続いてアイ・ティ・アールの甲元氏がエンタープライズ市場におけるクラウドサービス利用動向を解説した。クラウドサービスの代表例であるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の国内市場規模を調査したところ、2009年度は500億円以下だった。それが2014年度には900億円近くにまで増えると予測している。PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)/IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)市場については、2009年度の117億円から2014年度の620億円まで急成長していく、と見る。

 市場の主なけん引役は大企業だ。アイ・ティ・アールの甲元氏によれば「日本では大企業の方がクラウドサービスを積極的に利用しており、中堅企業がようやく関心を持ち始めた段階」という。一般に、初期投資が少なくて済むクラウドサービスは中小企業に向くと言われている。だが甲元氏は「中小企業のなかには格安で購入した業務パッケージを10年使い続けるところもあるなど、もともと情報システムに対するコスト意識が大変に厳しい。そうしたユーザーにとっては、現在のクラウドサービスは料金面であまり魅力がない、と映っているのではないか」と指摘した。

 大企業が中心の日本のクラウドサービス市場で現在、強みを見せているのが通信事業者である。例えばアイ・ティ・アールが2009年度のPaaS/IaaS市場シェア(金額ベース)を調査したところ、NTTコムが首位を獲得した。NTTコムの小原氏は自社の強みについて「長年培ってきたインターネット接続サービスやVPNサービスの顧客基盤がある。その顧客が、当社のデータセンターやクラウドサービスを社内のITインフラと同じような感覚で利用し始めているようだ。通信事業者ならではの信頼感や安心感を感じていただいているのではないか」と語った。

 クラウドサービスの“信頼感”を高める上で、NTTグループが今後武器にしていこうとしているのがNGN(次世代ネットワーク)だ。NTT東日本の滝澤氏はNGNの付加機能として、回線利用者を回線IDで特定してセキュリティを確保する「回線情報機能」や、あらかじめ決まった帯域を確保して安定した通信ができるようにする「データコネクト」を紹介。NTTコムやNTTデータも、自社のクラウドサービスとNGNを組み合わせたソリューションに力を入れている。「国内ユーザー企業がクラウドサービスを検討する際には、(十分なセキュリティを確保した)“非インターネット環境”で利用できるかどうかが重要なポイントになる」(NTTデータの中井氏)。

 最後に、司会の河井日経コミュニケーション編集長が「ユーザー企業が今まで以上にクラウドサービスにメリットを感じ、有効活用していけるような環境づくりが今後はより重要になる」とし、今後のクラウドサービスの方向性について各社に問いかけた。NTTコミュニケーションズの小原氏は「コラボレーションツールを拡充していくことでホワイトカラーの生産性を向上させることが重要だ」と指摘。さらに「現在のクラウド上に蓄積されるデータはテキスト中心だが、データ処理性能が高まっていけば音声データもどんどん蓄積され活用されるようになる。それが社員の生産性向上に大きく寄与するはずだ」と続けた。

 またNTTデータの中井氏は、SaaS上に集積されたアプリケーション同士を“コラボ”させていくことで、より付加価値の高いサービスを提供できるようにしていく、と述べた。NTT東日本の滝澤氏は「ユーザー企業にとってクラウドサービスの敷居はまだまだ高い。遠隔サポートなどを充実させ、サービスを利用しやすい環境を整えていく」とした。