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 米Adobe Systemsのプライベートカンファレンス「Adobe MAX 2010」が2010年10月23日から始まった。27日までの会期中に5000人の来場者を見込む。25日の基調講演では同社CTOのケビン・リンチ氏が、カンファレンス最大のテーマ「マルチスクリーン」を中心にAdobeのこれからを語った。

FlashのようにHTMLコンテンツを作れる、コードネーム「EDGE」

写真1●Adobe MAX 2010基調講演の会場となるロスアンゼルス・コンベンションセンターおよびノキアシアター周辺は期間中、カンファレンスに関する情報であふれる
写真1●Adobe MAX 2010基調講演の会場となるロスアンゼルス・コンベンションセンターおよびノキアシアター周辺は期間中、カンファレンスに関する情報であふれる
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 リンチ氏は、「ハンドヘルドデバイスのプロセッサ、バッテリーの両方が目覚ましく進歩したことで、これからコンテンツの閲覧や再生がPC以外のデバイスに広がる」と予測。その結果、表示環境のバリエーションが増えながらもコンテンツの表現力や技術力は従来以上のものが望まれる時が来ていると語った。その変化を表す言葉が「マルチスクリーン」である。

 「この変化は、PCが起こした変革よりも、歴史上大きな意味を持つ」(リンチ氏)。コンテンツをどのように適応させればよいのか、生産性をあげるにはどうすべきかを考える必要がある、と語った。

 HTMLコンテンツの具体例として、メディアクエリーを参照してオーサリング中にレイアウトをダイナミックに変更できる「Dreamweaver CS5 HTML5 Pack for Dreamwever」や、Flashのようにタイムラインの操作でインタラクション付きのHTML+CSSコンテンツが作れる「EDGE(コードネーム)」をデモンストレーションした。

 さらにマルチスクリーン時代に高いニーズが見込まれる電子書籍の分野では「Adobe Digital Publishing Suite」と呼ぶ新しいソリューションを発表。DTPツールの「Adobe InDesign CS5」を中核としたコンテンツオーサリングシステムを提唱し、HTMLでは難しい表現を画面上で実現することの重要性を語った。

写真2●基調講演開催前のオープニングアクトではFlashプログラミングのスター的存在、ヨア・エバート氏と、アーティストのエリック・ナツキ氏がDJの音楽にのせてパフォーマンスを披露<br>エリック氏は自身で開発したFlashアプリケーションを使ったアクションペインティングを、ヨア氏は音楽データの波形にエリック氏のペインティングをマッピングしてアニメートさせるプログラムをライブコーディングした。
写真2●基調講演開催前のオープニングアクトではFlashプログラミングのスター的存在、ヨア・エバート氏と、アーティストのエリック・ナツキ氏がDJの音楽にのせてパフォーマンスを披露
エリック氏は自身で開発したFlashアプリケーションを使ったアクションペインティングを、ヨア氏は音楽データの波形にエリック氏のペインティングをマッピングしてアニメートさせるプログラムをライブコーディングした。
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写真3●オープニングアクトを観る参加者たち。毎年若いクリエーター、ベテランとバランスよく広がりのある年齢層が集まる
写真3●オープニングアクトを観る参加者たち。毎年若いクリエーター、ベテランとバランスよく広がりのある年齢層が集まる
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 ここで米国の主婦にライフスタイルを高く支持されているマーサ・スチュアート氏が登壇。自身の手がける雑誌をGALAXY Sなどの多種多様なタブレットデバイスやスマートフォンで表示するデモを紹介して「雑誌よりはるかに情報量が多い電子書籍は雑誌の代替物でなく新しいメディアである」と位置づけていた。

 さらにビデオソリューションではコンテンツプロバイダー米Epix GoのCEO、マークゴールド・バーグ氏を招き、Google TVなどのネットTVの可能性を紹介した。TV端末用アプリケーション実行環境の「AIR For TV」でTVに情報端末の機能を持たせた様子をデモンストレーションした。

写真4●複数のAndroid端末で電子書籍を表示するデモンストレーション
写真4●複数のAndroid端末で電子書籍を表示するデモンストレーション
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写真5●サムスン社製のGoogle TVでHDビデオを再生するケビン・リンチ氏
写真5●サムスン社製のGoogle TVでHDビデオを再生するケビン・リンチ氏
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GPUで3Dを高速化するFlashの新API、コードネーム「Molehill」

写真6●3Dの格闘ゲームをAndroid端末で操作するケビン・リンチ氏
写真6●3Dの格闘ゲームをAndroid端末で操作するケビン・リンチ氏
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 エンタープライズの事例も解説しながら、最後はFlash Playerの新しい技術に関する話題に。将来的にFlash Player はGPUでアクセラレートする3DのAPIを搭載したバージョンになると予告し、ハンドヘルドデバイス向けゲームの可能性を一段と引き上げる革新を起こすと約束した。本APIの開発コードネームは「Molehill」。このAPIを使った3DゲームはレンダリングにCPUパワーをほとんど使わないため、複雑な処理の必要なゲームも遅延なくレンダリング処理が行えるとする。

 また、本技術は既存のゲームコントローラをFlashゲームのコントローラにする機能がある。「車のゲームならハンドル型のコントローラを、といった具合にゲーム内容に合った操作感をプレーヤーが選べるようになることで、いっそうコンテンツの楽しさを盛りあげられる」(ケビン氏)という。

 ケビン氏は最後にMotorolaのコーポラティブ・バイス・プレジデント、クリスティー・ワイアット氏を壇上に招いた。氏はMotorolaがAndroid端末の開発に注力してきた歴史について語り、もっとAndroidアプリの開発に興味を持つデザイナや開発者が増え、結果的にプラットフォームのコンテンツが増えることを期待するとアピール。そして「本日の来場者全員にMotorola DROID 2を無償提供する」と発表し、来場者を驚かせた。