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 私的録画補償金管理協会(SARVH)がデジタル放送専用録画機(つまりアナログ放送は録画しない装置)の補償金を期限までに支払わなかった東芝を相手取って起こした訴訟の判決が、2010年12月27日、東京地方裁判所で下された。

ただし「デジタル放送専用録画機は補償金制度の対象」と判断

 争点の一つである「デジタル放送専用録画機は補償金制度の対象になるか否か」については、SARVHの主張を認めて「補償金の対象になる」とした。一方で、SARVHの東芝に対する損害金(1億4688万5550円)および訴訟費用の支払い請求は退けた。

 メーカーの協力義務については、抽象的な義務を定めたもので法的拘束力はなく、支払い命令は出せないと判断した。著作権法(第104条の5)では、指定管理団体(SARVH)が補償金の支払いを請求する場合、対象となる特定機器および特定記録媒体のメーカーなどは、「補償金制度の支払い請求および徴収に協力しなければならない」とされている。東京地裁は、この規定は法的義務を有しない訓示規定と判断したことになる。

 今回の判決におけるメーカーの協力義務についての判断について、SARVH側は不満を持っている。SARVH側の代理人である弁護士の西本強氏は、「協力義務には法的拘束力がある」「仮に法的拘束力がないとしてもメーカーの協力義務は法律に書かれている。現在、東芝は何も協力をしておらず、義務を果たしているとはいえない」と述べている。今後については、「SARVH側の意思によるが、控訴する方向になるだろう」としている。

 今回の判決で東芝への支払い請求が退けられたことで、ほかのメーカーもSARVHへの協力義務を果たさなくなる可能性もある。これについては、「訓示規定とはいえ法律に書かれている義務を果たさないのは企業のコンプライアンス上問題がある」「メーカーが協力義務を果たさないと、消費者から直接補償金を徴収しなければならず、消費者にとっても不便な状態が生じる。本当にそれでいいのか」(西本氏)として、こうした現象が広がるのは好ましくないという見方を示した。

 東芝は2009年2月にデジタル放送専用録画機を発売しており,この録画機にかかる補償金の支払い期限は2009年9月30日だった。ところが東芝は「デジタル放送専用録画機は補償金の対象になるか疑義がある」と主張して,この録画機の製品価格に補償金を上乗せせずに販売を開始した。SARVHはデジタル放送専用録画機に関する補償金問題の解決に向けて東芝と話し合いを行ったが、「これ以上話し合いを行っていても進展がない」(SARVH)と判断し、訴訟に踏み切っていた。