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写真1●NTTドコモの古川浩司企画調整室長
写真1●NTTドコモの古川浩司企画調整室長
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 NTTドコモは2011年1月24日、2010年度分の接続料を改定し、同日付けで総務省に届けたと発表した。今回の改定は、2010年3月に総務省が策定した「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」に基づいた初めての算定となり、音声接続料は現行と比べて最大35.6%減と過去最大の下げ幅となった。

 接続料はあくまで事業者間で精算される使用料であるため、主に競争状態で決まるユーザー料金とは直結しない。ただNTTドコモは「接続料の低減はコストの低下の結果でもあり、コストが下がればユーザー料金を下げるのが自然」(古川浩司企画調整室長、写真1)という。今回の接続料の大幅な低減が、ユーザー料金の値下げへとつながる可能性がある。

 接続料とは、通信事業者をまたがる通信において、接続先の事業者のネットワーク使用料として支払う対価のこと。2009年度までは、各携帯電話事業者が独自の算定方法で接続料を定めてきていたが、算定が各携帯電話事業者の中で“ブラックボックス”と化していることを総務省が問題視(関連記事)。事業者間で算定ルールを透明化するためのガイドラインを打ち出した。

 同ガイドラインでは、これまで各事業者が接続料に含んできた営業費を原則排除する方針を示した。ガイドラインの対象はNTTドコモとKDDI、沖縄セルラー電話の二種指定事業者だが、ソフトバンクモバイルなど指定外事業者にも同様の取り組みを求めている。

 新たな適用ルールの下で算定した結果、NTTドコモの2010年度の音声接続料(区域内)は5.2円/分(2009年度から35.6%減)、音声接続料(区域外)は6.3円/分(同32.7%減)、レイヤー3のパケット接続料(10Mビット/秒当たり)は890万円/月(同29.3%減)、レイヤー2のパケット接続料(同)は750万円/月(同20.6%減)と、過去最大の下げ幅となった(写真2写真3写真4)。「最大の要因は営業費を除外した点。36%のうちの2割が営業費の控除の影響であり、そのほかがコスト減、需要減の影響」(古川室長)という。

 今回の接続料改定は、実績ベースとして各事業者間で2010年度末に精算され、2010年4月1日に遡って適用される。

写真2●新ルール適用による2010年度の改定接続料
写真2●新ルール適用による2010年度の改定接続料
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写真3●新ルールによる接続料の算定方法
写真3●新ルールによる接続料の算定方法
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写真4●NTTドコモにおける接続料算定の内訳
写真4●NTTドコモにおける接続料算定の内訳
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ソフトバンクモバイルとの接続料の格差をけん制

 今回、NTTドコモが打ち出した接続料は、他社がドコモのネットワークに接続した際に支払う額である。同社は「2009年度の接続料の精算はトータルでトントンの状態」(古川室長)というが、他事業者の接続料が下がらず格差が広がれば、接続料に関して支払い超過になる可能性がある。説明会では、接続料の格差が広がる傾向にあるソフトバンクモバイルをけん制する場面も目立った。

写真5●各携帯電話事業者の接続料の推移
写真5●各携帯電話事業者の接続料の推移
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 2008年度のソフトバンクモバイルの接続料は、NTTドコモの1.28倍に達し、2009年度もほぼ同じ水準という(写真5)。その結果、NTTドコモはソフトバンクモバイルに対して「100億~200億円の支払い超過状態」(古川室長)という。古川室長は「仮に接続料の収入でもうけて、それをユーザー料金の値下げのベースに使うのであれば、それは公正競争上問題ではないか」と語る。NTTドコモが例年に比べて1カ月早い時期に接続料改定を公表した理由は、今回ルールが変わったことに加えて、ソフトバンクモバイルに対してルールに基づいて接続料を算定するようけん制したかのようにも見える。

 接続料はコスト+適正利潤を総通信時間で割った額であるため、ネットワークの作りやトラフィック量も変動要因となる。接続料の格差が縮まるかどうかはまだ分からない。古川室長は「まずはルールに基づいて合理的な説明がされるかどうか」と語る。

 対するソフトバンクモバイルは、「現在、接続料の算定中であり3月上旬には策定する見込み」と語る。

 同社は営業費用という項目ではなく、ネットワーク外部性追加料金という項目で携帯電話を持っていない人に販売するためのコストを接続料原価に足している(関連記事)。ただ2009年度の総務省の接続ルール改定時にネットワーク外部性追加料金も控除するように求められたことから、今回の接続料算定ではこの費用も外すことになると見られる。現在のところ同社は接続料を公表する予定はなく、あくまで事業者間に限った取り扱いになりそうだ。

 なお総務省では現在、2011年3月の公布・施行予定の「二種指定接続会計規則」を再意見募集にかけている。この会計規則が施行されれば、携帯電話事業者の接続料算定はさらに透明性が図られる見込みだ。

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■変更履歴
当初、レイヤー2のパケット接続料を2009年度比で「720.6%減」としていましたが,正しくは「20.6%減」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/01/24 20:50]