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写真●富士通の廣野充俊執行役員兼クラウドコンピューティンググループ副グループ長(撮影:皆木優子)
写真●富士通の廣野充俊執行役員兼クラウドコンピューティンググループ副グループ長(撮影:皆木優子)
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 「クラウドコンピューティングをビジネスの創造やイノベーションの創出に生かしてほしい。クラウドの活用により、イノベーションを起こした事例がすでに出始めている」。日経BP社主催のクラウドコンピューティング専門展「日経BP Cloud Days Tokyo 2011 Conference & EXPO」で富士通の廣野充俊執行役員兼クラウドコンピューティンググループ副グループ長(写真)は「クラウド・コンピューティングによるビジネスイノベーション」と題して講演した。

 廣野執行役員はクラウドの用途について、(1)既存のアプリケーションの移行、(2)新しいビジネスを創出するフロントシステムの構築、(3)医療や農業といった特定業界向けの社会インフラの構築、の三つがあると説明する。(1)は「既存システムのモダナイゼーション」と位置づける一方で、(2)と(3)は「イノベーションを起こすための用途」とする。

 (2)のフロントシステムの事例として廣野執行役員が挙げるのが、神奈川県の機械金属メーカーの保守サービス支援システムの事例だ。自社の製品にセンサーや通信モジュールを組み込み、機器の設置状況や状態を管理するシステムである。製品から送られてくる情報を基に予防保守の計画や、保守部品の手配、保守のスケジュール計画の立案などを実施する。このシステムは、メーカーのプライベートクラウドとして富士通のデータセンター内で稼働しているという。

 こうしたフロント業務へのクラウドコンピューティングの活用に加え、注目されているのが(3)の社会インフラだ。「医療や農業、電力などイノベーションが起きるエリアが広がっている」と廣野執行役員は指摘する。パソコンやセンサー、スレートPCといった端末から情報を収集、クラウド上で分析して、その結果をフィードバックすることで「より良い社会を目指す」と廣野執行役員は話す。

 富士通が3年前から取り組んでいるのが農業の支援だ。「クラウドの活用によって、農業を産業化していくのが目的」と廣野執行役員は説明する。宮崎県の農家と手を組み、農場にセンサーなどを設置して天候といった29種類の情報を収集。加えて作業者にGPS付き携帯電話を持たせることで、作業実績のデータや発育の状況を写真付で集めている。こうしたデータを基に効率的な農作業の計画を立案し、最も良い味で農作物が収穫できる時期を割り出す。

 「システム導入の最も大きな効果は、若い人が辞めなくなったこと」と廣野執行役員は話す。「計画的に作業を立案できるようになったことで、休みが取りやすくなり、労働時間が短くなった」(廣野執行役員)からだ。システムを導入したことで、農家の売上や利益も倍以上になったという。富士通は同様の取り組みを、北海道のじゃがいもや沖縄の紅茶などでも実施している。廣野執行役員は、「農作物によって必要な情報は異なるため、色々な場所や農作物で取り組んでいる。TPP(環太平洋経済連携協定)時代に生き残る農業になるための支援をしたい」と強調した。