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写真●「リソースベースのBCP」策定手法について解説するデロイト トーマツ リスクサービスの丸山満彦取締役
写真●「リソースベースのBCP」策定手法について解説するデロイト トーマツ リスクサービスの丸山満彦取締役
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 有限責任監査法人トーマツは2011年4月26日、東京で記者向けセミナーを開催し、東日本大震災を踏まえた最新のBCP(事業継続計画)策定手法について講演した(写真)。セミナーでは、BCPを策定済みという企業でも、今回の大震災を経験した結果、策定したBCPに思わぬ“ほころび”が見えてきたケースがあることなどが紹介された。

 講師として登壇したのは、トーマツのグループ企業であるデロイト トーマツ リスクサービスの丸山満彦取締役。丸山氏はまず、企業ユーザーのBCP策定について、「少なくとも当社と取り引きのある大手企業の場合、ハッキリとうたっていなくても、ほとんどの企業が何かしらBCP的なものを用意している」と企業ユーザーのBCP策定に対する意識が近年かなり高まっている現状を紹介した。

 しかし丸山氏によれば、「BCPを策定すること」と「策定したBCPが機能すること」は別問題であり、実際に今回の震災後、策定したBCPがうまく機能しなかったケースが見られたという。

 その具体例として丸山氏は、震災直後の初動対応において「携帯電話などによる安否確認を予定していたが、発信規制などによってスムーズに進められなかった」「外部サービスの安否確認システムを契約していたが、アクセスの集中によりサービスがダウンしてしまった」といった事例が発生していたことなどを紹介した。

シナリオベースのBCPが「想定外」を生む

 策定したBCPが機能しないのはなぜか。その大きな理由として丸山氏は、多くの企業が「シナリオベースのBCP」を策定していることを挙げた。「BCPを策定する場合、『どこどこでどのような災害が発生した』といった具体的なシナリオを作り、そのシナリオに基づいて取るべき行動を決めているケースが多い。しかし、それでは想定外の事態に陥ったときに対処が難しくなる」(丸山氏)。

 今回の震災で発生したそうした“シナリオにない想定外のできごと”の例として丸山氏は、「震源地からはるか離れた東京で、交通機関の乱れや計画停電による運行制限などにより社員が出社できなかったこと」を取り上げた。

 「震源地から離れていたため物的な損害が少なかった東京において、今回見られたように多くの社員が出社できない事態が起こることを想定してシナリオを作っていたケースは少ないのではないか。特に、原発事故およびそれに付随する計画停電まで想定してBCPを策定していたケースはほとんどないだろう」(丸山氏)。

 こうした脅威の発生に基づくシナリオベースのBCPに代わる新しいBCP構築手法として、トーマツが提案しているのが「リソースベースのBCP」だという。設備や施設、人、ITなどのリソース(資源)に基づくBCPである。

 「社員の出社が困難ならばこう対処する、原材料の調達が難しいならこう動くという具合に、あくまでもリソースを基準にBCPを策定する」(丸山氏)。何が起こったかではなく、継続すべき重要業務の遂行に必要なリソースを明確にし、失われたリソースをどのようにカバーする/できるかという点を重視するのが、これからの新しいBCPだと丸山氏は強調した。