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 アイティークルーと日本アイ・ビー・エムは2011年5月24日、宇宙から「反物質」が消えた謎に迫る東北大学の実験プロジェクト「ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索」向けに新しい解析やシミュレーションのためのシステムを構築および納入したことを発表した。

 同実験は、質量数136のキセノン(Xe)同位体の二重ベータ崩壊現象を観測するというもので、岐阜県神岡町にある実験施設において24時間体制で実施される。この実験において、1日当たり約800ギガバイト(GB)以上発生する観測データを分析したり、データから現象をコンピュータ上で再構成するシミュレーションなどを行ったりするための新システムをアイティークルーが設計および構築した。

 構築した新システムでは、日本IBM製のサーバーおよびストレージを採用。IBMの分散共有ファイルシステム「General Parallel File System」(GPFS)を使って、52台の計算用サーバーへのデータ転送を高速化し解析速度を向上させている。高並列処理により、200GBのデータをわずか1.4分で一度に処理できるといい、24.6分で処理していた従来システムと比べて、データ処理速度が17倍以上向上したとしている。

 計算サーバーには「IBM System x iDataPlex」を、観測データを蓄積するストレージには、「IBM System Storage DCS9900」を採用している。

 同実験プロジェクトは、「ニュートリノが発生しない二重ベータ崩壊現象」を実際に捉えることを目標としている。二重ベータ崩壊とは、原子核内の中性子2つが陽子2つに変換(ベータ崩壊)し、その際に電子と反電子ニュートリノが2つずつ放出されるという現象であり、非常に稀な確率で発生する。ニュートリノは素粒子(レプトン)の一種。

 この二重ベータ崩壊の際、「電荷を持たないニュートリノでは、ニュートリノと反ニュートリノが同一である」という仮説に基づくと、2つの反ニュートリノ同士が打ち消しあうことで反ニュートリノが発生しないという現象が起こりうるという。これが同実験で確認できれば反粒子が粒子に変換されうることが分かり、「なぜ現在の宇宙には物質だけが存在しているのか」という物質・反物質の非対称性が発現する仕組みの究明につながる。