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写真●米アマゾン・ドット・コムのヴァーナー・ボーガスCTO(撮影:首藤一幸氏)
写真●米アマゾン・ドット・コムのヴァーナー・ボーガスCTO(撮影:首藤一幸氏)
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 米アマゾン・ドット・コムのCTO(最高技術責任者)であるヴァーナー・ボーガス氏(写真)が2011年7月4日、都内で講演し、同社子会社のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)「Amazon Web Services(AWS)」をHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)に活用する動きが欧米で広がっていることなどに触れ、「クラウド上でのHPCへの投資を強化する」などと述べた。

 ボーガスCTOによれば、HPCの適用領域では現在、従来扱えなかったような大量のデータを処理する「データ・インテンシブ・コンピューティング(データ集中型コンピューティング)」が伸びているという。「マスコミが、『ビッグ・データ』として取り上げる分野のことだ」(ボーガスCTO)。

 ボーガスCTOは、データ・インテンシブ・コンピューティングが、クラウドに向いていると語る。「従来のデータ解析では、どのような疑問に答えを出すべきかが、事前に分かっていた。データ・インテンシブ・コンピューティングのような今日のデータ解析では、疑問自体が分からない。どのようなデータやアルゴリズムが必要かも分からないため、ユーザーはなるべく多くのデータを集める必要がある。必要となるストレージやコンピュータ資源の量も分からないので、それらを自由に増やせるクラウドが環境として最適だ」(同)。

 「どういう解答が必要か分からない時に向いているアルゴリズム」(同)としてボーガスCTOが挙げたのが、米グーグルが開発した分散バッチ処理技術である「MapReduce」だ。AWSは、MapReduceのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)である「Amazon Elastic MapReduce(EMR)」を提供する。米国では、ネット広告企業のレイザーフィッシュが、ユーザーによるWebサイトのクリック動向(クリックストリーム)の分析に、Amazon EMRを利用しているという。

 仮想マシン貸しサービスの「Amazon EC2」では、HPC用の仮想マシンとして、米インテルの「Xeon 5570」プロセッサ2個や23Gバイトのメモリーなどを搭載する「クラスタコンピュート インスタンス」、これに米エヌビディアのGPU「Tesla M2050」を加えた「クラスタ GPU インスタンス」などを提供している。

 最近のHPCでは、一般的な計算処理にGPUを活用する『GPGPU』に注目が集まっている。ボーガスCTOは、「GPGPUはまだ始まったばかりの取り組みで、どのGPUが今後の主流になるかが分からないというリスクがある。クラスタGPUインスタンスを使えば、投資リスクを負わずに、GPGPUに挑戦できる」と、クラウドの利点を強調した。

 HPC向けの仮想マシンは、米国の製薬会社であるイーライリリーが、様々な病院との共同研究プロジェクトなどに利用している。またドイツのフラウンホーファー研究機構は、金融サービスや地理情報の解析情報サービスなどに、クラスタGPUインスタンスを活用しているという。

 ボーガスCTOは、「クラウド上のHPCは、まだ始まったばかり。やがて人々が『HPCアプリケーションを使うなら、まずクラウドを選択する』と考えてもらえるように、HPC分野に継続的に投資する」と意気込みを語った。