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写真●「IT Japan 2011」で講演するパーク24の川上紀文執行役員業務推進本部長(撮影:皆木優子)
写真●「IT Japan 2011」で講演するパーク24の川上紀文執行役員業務推進本部長(撮影:皆木優子)
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 「『車離れ』とよく言われるが、『車不要』になっているわけではない。新しい移動手段としてカーシェアリングを提案すれば、新市場は必ず創れる」---。

 2011年7月12日から14日にかけて品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2011」初日の特別講演で、駐車場運営大手パーク24のCIO(最高情報責任者)に当たる川上紀文・執行役員業務推進本部長(写真)は「新市場を創る~今、求められるモビリティサービスについて~」と題して講演した。この中で、2009年に本格参入したカーシェアリング事業「タイムズプラス」と、それを支えるIT(情報技術)に触れて、車離れを市場創造のチャンスにしたい考えを示した。

 川上CIOは、コンサルティング会社などを経て2003年にパーク24に入社。以来、IT部門やITを核に事業開発を行う部門を率いてきた。

 川上CIOが2009年から注力するのが、15分200円から自動車を利用できるカーシェアリングサービス「タイムズプラス」だ。パーク24の中核事業である「タイムズ」ブランドの時間貸し駐車場の用地や情報システムと、買収したレンタカー会社のマツダレンタカー(現タイムズモビリティネットワークス)の車両運用ノウハウを組み合わせて、新規事業としてタイムズプラスを立ち上げた。

 2010年6月時点の会員数は約1万人で、車両数は615台だったが、1年後の2011年6月には会員数約5万2000人、車両数2407台の規模まで急成長した。

「カーシェアリングはITなしでは成立しない」

 「タイムズプラスはITなしでは成立しない事業だ。しかも、従来は車をあまり使わなかった層の開拓にもITが効果を発揮している」と川上CIOは強調した。実際、タイムズプラスの住宅街における利用者年齢構成比は20代と30代で全体の約7割を占める。男女比では、男性が全体の約8割を占める一方で女性も2割いる。若年層と女性の車離れが進んでいるのとは対照的な利用者層である。

 タイムズプラスは「車を保有するほどではないが、時々は出発地から目的地に直行できる移動手段として車を使いたい」という利用者層を狙った。タイムズプラスの業務基盤となる情報システムは時間貸し駐車場用の情報システム「TONICクラウド」を流用し、半年で稼働にこぎつけた。一方で、あまり車に慣れていない利用者が戸惑うことなくタイムズプラスを使えるようにするための支援体制に重点を置いて、追加開発を実行した。

 具体的には、タイムズプラスで扱う16車種それぞれの計器類とTONICクラウドをつなぐ「車載機」を独自に開発した。利用者が困った時にタイムズプラスのコールセンターに電話をすれば、コールセンターから遠隔操作で鍵を開けたり、バッテリーやカーナビなどの状態データを遠隔で参照して利用者にアドバイスしたりできる。利用者が車内に忘れ物をしたことに気付いた場合も、コールセンターに電話をすればすぐにシステム上で忘れ物を残した車両の所在を特定し、巡回スタッフが回収に向かう。

 さらに、予約のしやすさも重視した。Webからの簡単な操作で近くのタイムズプラス拠点を案内できる画面を用意。カーシェアリングでは一定の割合で前の利用者が渋滞に巻き込まれるなどして車が戻って来ないケースが発生するが、この場合も、すぐに近隣の代車を案内してできるだけ予約時間通りに利用できるようにもした。

 タイムズプラス事業単体の黒字化はまだだが、川上CIOは「日本でまだなじみの薄いカーシェアリングを普及させるには、どこでも使えるというレベルまで拡大することが不可欠だ」とする。当面は先行投資を続け、都市・地方を問わず、タイムズプラスの拠点数・車両の拡大を続ける考えを強調した。