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写真●「IT Japan 2011」で講演した日本オラクルの遠藤 隆雄 代表執行役社長 最高経営責任者(撮影:皆木優子)
写真●「IT Japan 2011」で講演した日本オラクルの遠藤 隆雄 代表執行役社長 最高経営責任者(撮影:皆木優子)
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 「システム環境が複雑になっているのみならず、アプリケーションの構造そのものが複雑になってきた。これをシンプルにすることが、今求められるITのテーマじゃないかと思う」---。

 2011年7月12日、都内で開催中のイベント「IT Japan 2011」の講演で、日本オラクルの遠藤 隆雄 代表執行役社長 最高経営責任者(写真)は、現在のシステムの抱える問題点とこれからの方向について、このような考えを示した。

 遠藤社長の講演タイトルは「技術革新が約束する次世代のビジネス基盤-Simplifying IT」。シンプルにしなければならない理由は、「コストが高い、スピードが遅い、柔軟性がない」(遠藤社長)といったシステムでは激しい市場環境の変化に対応できないと考えているからだ。ただ、「一気にシステムをシンプルにするのではなく、段階的に、ロードマップを含めて示すことが必要なのではないか」と遠藤社長は講演を続ける。

 変化の例として、遠藤社長は最近よく使われる「想定外」という言葉を挙げる。「想定外という言葉は不快な言葉だが、それを想定できなくてもクイックにアクションを取れることが必要」と語り、さらに「想定外のことが起こること自体がビジネスチャンスでもある」と指摘。こうした変化をうまく生かしたり、新しいビジネスモデルを迅速に作りだしたりするためにも、ITはシンプルである必要があるとする。

ベンダー囲い込みではない、標準技術でシンプルに

 では具体的にどのようにITをシンプルにするのか。遠藤社長は(1)開発環境・開発方式、(2)クラウド活用、(3)ハード/ソフトの一体化---について説明を続けた。

 (1)について遠藤社長は、これまでの開発のやり方を変える必要があると説く。例えば、「ウォーターフォール型の大規模開発ではなく、既存のものを組み合わせたり組み替えたりしながら作り込んでいく」「スクラッチ&ビルドで過去のシステムを捨てて一から作り直すのではなく、可能な限り過去の資産を生かしながら変化する部分だけをうまく変えていく」「長期プロジェクトではなく、数週間といった短期のプロジェクトで変化させていく」といった開発方式だ。

 これらをサポートするのがSOA(サービス指向アーキテクチャ)であり、アプリケーションの標準パッケージであり、OMU(Oracle Unified Method)といった開発のメソドロジーだと説明する。クラウドサービス(を開発する側)もこうした標準の開発環境、標準のメソドロジーを持っているからこそ素早く開発してサービスを投入できるとし、こうした開発方式はクラウドサービスの提供者だけでなく、企業にも取り入れることができるとした。

 (2)のクラウド活用については、ハイブリッドのクラウド活用が変化に対して柔軟なシステムを実現すると説明。オンデマンド、オンプレミスを業務によって使い分けるといったことで迅速に変化に対応する。

 (3)については、現在のシステムが多くの種類のハード/ソフトで構成され、問題が発生した際の切り分けに苦労している現状を指摘。複雑になったハード、ソフト、アプリの“インテグレーションリスク”に対して、可能な限り単一構成のシステムに移行して、それをリモートでモニタリングしながらメンテナンスをしていくことで、より迅速な対応ができるとした。こうした状況を変えていくには、前述の開発環境を標準化すると同時に、それを支えるインフラも標準化することだと述べ、これを支えるのが同社が以前から提唱しているハード/ソフトを一体化させた「Engineered System」であると語った。

 講演後の公開質問で、シンプル化のためにハードウエア、ソフトウエア、サービスまで1社で提供するのは「メインフレーム時代の囲い込み、ロックインではないか」との問いが投げかけられた。

 これに対して遠藤社長は、「ベンダーロックインが企業にとって悪いのかどうかということを判断してほしい。むしろそれで安全・安心を担保してもらった方がいいのではないか」といった考え方もあると説明したうえで、「堅牢性を担保できる『Engineered System』はオープン化ゆえの流れ。オープンというのは、技術を公開している、標準技術を使っているという意味でもあり、オラクルはオープンにこだわっている。オープンを“Engineered”しているのであって、これがお客様のマイナスにならならない」と述べた。