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写真●「IT Japan 2011」で講演した日立製作所の岩田 眞二郎 執行役専務 情報・通信システム社 社長(撮影:皆木優子)
写真●「IT Japan 2011」で講演した日立製作所の岩田 眞二郎 執行役専務 情報・通信システム社 社長(撮影:皆木優子)
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 「ヒトやモノから発信される大量の情報、いわゆる“Big Data”を活用して人に優しい社会を築いていく。それが、これからのITの役割だ」---。2011年7月12~14日に開催されている「IT Japan 2011」の初日、日立製作所の執行役専務で情報・通信システム社社長の岩田眞二郎氏(写真)は「強く、やさしい社会へ-ITができること-」と題した講演でこう強調した。

 岩田氏は冒頭で、東日本大震災においてITがどのような力を発揮したかについて語った。被災地を支援するための情報がインターネットを通じて迅速に提供されたことや、個人の安否確認にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やTwitterなどのマイクロブログが活躍したことを説明。日立製作所においても、もともとホスティングサービスやシンクライアントを活用していたことや、社内SNSなど情報共有の仕組みが用意されていたことが、事業継続や被災地支援などに役立ったという。

 一方で、震災を経験した多くの企業は今、BCP(事業継続計画)やITシステムの在り方について見直しを迫られている。こうした企業を中心に、「ITシステムを“所有”するのではなく“利用”したい」「システムを分散させたい」「システムの冗長性を確保したい」といった顧客ニーズが急速に強まりつつある、と岩田氏は指摘する。また、システムの効率性を追求するための手段と捉えられることの多かったクラウドサービスについても、「安全・安心なIT基盤を確保するための技術として期待されるようになってきた」という。

「Big Dataの活用には蓄積・検索・分析する仕組みが必要」

 こうした顧客ニーズの変化を踏まえたうえで、岩田氏は将来のIT産業の在り方を描いてみせる。「Big Dataを活用し、安心・安全で快適な『人に優しい社会』を実現する」というものだ。

 既に日立製作所は公共分野を中心に、こうした取り組みを進めている。例えば「鉄道の駅構内にいる人の流れをセンサーで計測し、そのデータを導線設計に生かす」「電子カルテや各種の調査結果を横断的に検索・分析し、患者の病状分析や治療計画の作成に役立てる」「自動車や信号に備え付けたセンサーからリアルタイムの情報を集めて交通渋滞を緩和させる」といった事例がある。

 また、青森県における自然エネルギーを100%利用した次世代都市の共同実証実験や、世界各国の次世代都市構築プロジェクトにも参画している。

 人に優しい社会を実現するうえで鍵となるのが、Big Dataを適切に処理して活用していくための仕組み作りだ。岩田氏は「Big Dataは、まずBig Dataを効率的に蓄積する段階、次いで高速に検索する段階、さらに統合的に分析する段階を通じて、いよいよ活用できるようになる」と話す。

 また、人に優しい社会を作っていくには「インフラを構築するだけでなく、社会が抱えている課題について、住民と地域の企業、自治体が意識を共有することもポイントだ」と、岩田氏は説く。こうした観点から日立製作所では、次世代都市の構築に向けた課題検討やステークホルダーによる合意形成のためのフレームワークも用意しているという。

 講演後の公開質問では「震災復興やスマートシティ実現のためにITが担う役割はますます重要になりつつあるが、一方で、システムトラブルが絶えず社会に大きな影響を与えている側面もある。現場はトラブル防止のために奮闘していると思うが、企業の経営層はどういった手を打つべきなのか」といった問いが投げかけられた。

 これに対して岩田氏は、まず「ITは今やどんな企業にとっても、財務や人事に並んで必要不可欠の経営インフラになっている。だがこれまで企業の経営層の間には、財務や人事ほどにはITを重要視しない向きあった」と現状を分析した。そのうえで「経営レベルでITへの知見を高めるとともに、CIO(最高情報責任者)が経営に参画していくことが重要だ。ITシステムの停止で企業活動が大きく阻害されることを企業のトップが認識し、社内でのIT部門の地位を高めていかなければならない」と強調した。