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写真●ITサービスベンダーの今後について講演した、ガートナー リサーチ ジャパンの山野井 聡 リサーチ部門代表 バイスプレジデント
写真●ITサービスベンダーの今後について講演した、ガートナー リサーチ ジャパンの山野井 聡 リサーチ部門代表 バイスプレジデント
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 「国内のIT市場は成熟しつつあり、成長力は下降トレンドにある。この市場環境において、ITサービスのプロバイダはどのような成長戦略を描けばよいのか」。ガートナー リサーチ ジャパンの山野井 聡 リサーチ部門代表 バイスプレジデントは2011年10月5日、開催中の「Gartner Symposium/ITxpo 2011」で講演、冒頭でこう切り出した。

 続けて、主要なITサービス分野ごとの市場動向を具体的な数字を挙げて解説した。例えば、2010年から2015年にかけての「ハードウエア製品保守」の国内市場は、金額ベースでマイナス1.5%になるという。製品価格の下落や仮想化による台数減などにより、厳しい業況にあるためだ。一方、「パッケージ・ソフトウエア製品保守」では、2015年までにプラス0.6%の成長が見込めるとし、その理由にベンダーの収益性の高さを挙げた。ただし、保守料率の高さに対して顧客の不満が顕在化することへの懸念も示した。

 山野井氏はこのほか、「コンサルティング」「アプリケーション開発・SI」「IT基盤運用管理」「アプリケーション運用管理」「情報処理」「BPO(Business Process Outsourcing)」といった分野ごとの成長率の予想を示しながら、全体として成熟化の傾向にあると分析した。

 市場の成熟化の背景には、ユーザー企業におけるITサービス支出への「二つの姿勢」が影響していると述べた。具体的には、(1)ITサービス支出への合理化志向が依然として続いていることと、(2)投資意欲を高める「商材」が無いことが、ユーザー企業のIT投資を抑制しているという。

 こうした現状分析を示したうえで山野井氏は、「ITサービスベンダーの採るべき方策は二つしかない」と断言した。それらは、「他社からユーザーを奪うか」、既存の中核事業の外側にある「ホワイトスペースを探すか」である。

 これに続けて、より細かな戦略を考えるために、国内ユーザー企業のIT組織が今後どのように変化していくのかをシミュレーションした「四つのシナリオ」を山野井氏は提示した。具体的には、「バランスに秀でたIT連邦組織になる(シナリオA)」「復権を遂げたIT部門になる(シナリオB)」「新たなパワーユーザーになる(シナリオC)」「ベンダー依存症のIT部門になる(シナリオD)」である。

 山野井氏は、「IT組織として理想的なのは、シナリオBとシナリオCの混合であるシナリオAだ」としつつ、今後はITサービスベンダーへの依存度が少ないシナリオCの比重が高まる可能性を指摘した。このシナリオCは、IT部門がエンドユーザー部門に組み込まれた形態となり得るため、IT部門の予算が利用部門の予算へシフトするなどの変化をもたらすという。

 加えて、IT調達手段の多様化や脱ウォーターフォール型開発への取り組み、コンシューマテクノロジの活用など、ユーザー企業側の新たなトレンドを提示した。「ITサービスベンダーは、こうしたユーザー企業側の新たなシナリオやトレンドに対処できる戦略を立てる必要がある」とし、まとめとして2012年以降の成長戦略に向けた日本のITサービスベンダーへの10の提言を示した。

 講演の最後に山野井氏は、サービスプロバイダに本来備わっているテクノロジエキスパートとしての存在価値を今一度見直し、さらに高める必要性を強調した。「最新技術のトレンドを把握し、ユーザー企業に適切に提案できるかどうかがポイント」と述べ、ITサービスベンダーの原点に立ち返ることの大切さを訴えた。