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写真●米セールスフォース・ドットコムのJP ランガスワミ チーフサイエンティスト
写真●米セールスフォース・ドットコムのJP ランガスワミ チーフサイエンティスト
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 セールスフォース・ドットコムは2011年10月6日、米セールスフォース・ドットコムのチーフサイエンティストであるJP ランガスワミ氏の記者向け説明会を開いた。テーマは「企業におけるゲーミフィケーション(ゲーム化)」。ゲーミフィケーションは近年コンピューティングや組織経営で注目を浴びている考え方だ。主に、ゲームが備えている「レベル」や「ランキング」など、ユーザーの興味を引きつけ継続的に参加したいと思わせる要素を、Webサービスや企業経営など、ほかの分野に適用することを指す。

 「顧客は変化している。だが多くの企業は変化できていない。だからゲーミフィケーションが必要だ」とランガスワミ氏は語る(写真)。「仕事や組織経営にゲーミフィケーションの要素を持ち込むことで、顧客の変化に対応し、ビジネスや組織の成長を促すことができる」(ランガスワミ氏)。

 その一方で、「単に『嫌な仕事を楽しくする』ためにゲームフィケーションを持ち込むのは意味がない。それは子どもにごほうびとして甘いジュースを飲ませるようなもの。一時的には良い変化を与えるだろうが、決して持続しないし、中長期的には悪い結果をもたらす」と注意を促す。

 ランガスワミ氏の説明の要点を、以下にQ&A形式でまとめる。

なぜ今ゲーミフィケーションに注目すべきなのか。

 仕事、組織、経営が新しいパラダイムに向かっているからである。ピーター・ドラッカー は企業の目的について「顧客の創造」という言葉を使っているが、これが「なぜ今ゲーミフィケーションなのか?」という問いへの答えだ。顧客の変化に企業が対応するために、ゲーミフィケーションは重要である。

 産業はナレッジワーカーの時代を迎えた。市場環境も大きく変化している。そのため組織は従来型のヒエラルキー構造よりは、現場の人々が最適と判断したメンバーを選びチームを組むようなネットワーク型の構造のほうが望ましい。

 組織というのは目的があってその構造になっている。優先順位を付けること、その優先順位に従ってリソースを割り当てること、進捗をモニタリングすること、そして進捗に際して発生する衝突を回避することだ。

 以前の市場環境は、顧客や市場は画一的であり、変化はゆるやかで、予測しやすかった。そのような時代にはヒエラルキー構造が適していた。

 だが、今は違う。顧客の好みはまちまちで、市場はつねに変化しており、予測は難しい。組織に所属している多くのワーカーは、あらかじめ決められた通常のプロセスではなく、次々と発生する衝突への対処、つまり「例外対応」に多くの時間を費やしている。

 ネットワーク型の構造は、こうした環境に適した組織構造だ。いまの環境では多くの場合、(マネジメント層よりも)現場にいるメンバーのほうが現場の課題の解決策をよく知っている。誰が課題の中身をよく把握しているか。誰なら課題を解決するためのスキルを備えているか、解決チームのメンバー構成は誰と誰が適切か、といったことは、実は現場のメンバーに任せたほうがいい。その時重要なのが、メンバー同士を結びつけた関係性と可能性のネットワークである。

 このネットワーク型の構造において、より良い組織マネジメントを可能にするのがゲーミフィケーションだ。

 ゲーミフィケーションの要素としてはいろいろある。企業で起きる特定の課題に対処するためには、ある特定のスキルや武器や防具などの装備、一定以上の「レベル」を備えたメンバーが複数人必要だ。では、だれがその課題解決にふさわしい「バッジ(職位や資格)」を持っているのか。そのふさわしい人は今どんな状態で、プロジェクトに参加できるのかできないのか。そもそも周囲にはどんなバッジを備えたメンバーがいるのか。先に言ったように、それは現場の人がよく知っている。

 マルチプレイヤーのオンラインゲームでは、ゲーム参加者がそうしたプロセスを参加者同士で自然と処理し、冒険に参加している。その意味で、ナレッジワーカーの現場とマルチプレイヤーのオンラインゲームは非常に近しい形態を持っている。