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写真1●「Oracle Public Cloud」を発表する米オラクルのラリー・エリソンCEO
写真1●「Oracle Public Cloud」を発表する米オラクルのラリー・エリソンCEO
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写真2●エリソンCEOが語るクラウドの“本物”と“偽物”の見分け方
写真2●エリソンCEOが語るクラウドの“本物”と“偽物”の見分け方
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 「クラウド界のとある有名人が“偽物のクラウドに注意せよ”と言っているが、彼らのクラウドこそ偽物で、本物のクラウドを提供していくのは我々の方だ」---。

 2011年10月5日(米国時間)に行われた「Oracle OpenWorld 2011」(OOW2011)の最終基調講演で、ラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)はパブリッククラウドサービス「Oracle Open Cloud」を発表するとともに、競合ベンダーに釘を刺した(写真1関連記事)。

 「偽物のクラウドに注意せよ」という言葉は元々、元オラクルで米セールスフォース・ドットコムのCEOを務めるマーク・ベニオフ氏によるもの(関連記事)。これに対する回答を、エリソンCEOは今回の講演で語ったわけだ。講演中は、何度も「本物のクラウドか偽物のクラウドか」という視点を織り交ぜながら、新サービスのコンセプトと意気込みを語った(写真2)。

 今回のエリソンCEOの講演はまず、業務アプリケーションスイート「Oracle Fusion Applications」の設計思想を振り返ることから始まった。オラクルは同製品を6年以上もかけて開発しており、今回のOOW2011でようやく「本格出荷を開始」と発表したばかりである(関連記事)。エリソンCEOによればFusion Applicationsの開発当初から、オンプレミスとクラウドのどちらでも動かせることを目指していた。またJava EEやBPELに代表される業界標準に準拠させることにもこだわってきた。

 さらに、アプリ単位ではなくOSやミドルウエアを含めた全体でセキュリティを高めるよう設計する、ユーザーインタフェースを全面刷新する、など取り組みも進めた。このように「アーキテクチャを大きく変革する必要があった」(エリソンCEO)からこそ、開発が長期にわたったのだという。

 続いてエリソンCEOは独自のパブリッククラウドであるOracle Public Cloudを発表した。同社はこのサービスを、Oracle Fusion Applicasionsとその他のアプリを利用するためのプラットフォームとして、またデータベースやミドルウエアなどのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)として提供していく。

 エリソンCEOは発表に際し「我々のクラウドは他社のクラウドとは違う。業界標準仕様に基づいており、他のクラウドサービスとの相互運用性を完全に保っているからだ。ユーザー企業はクラウドを取り入れていくにしても、過去20年間に蓄積してきた技術を全部忘れるわけではない。この点を踏まえてサービスを開発した」と断言。特に、オラクルのクラウドと他事業者のクラウド、オンプレミスそれぞれの環境でアプリケーションを行き来できる点を強調した。

 「例えば現在利用中のオラクルデータベースをそのまま当社のクラウドに移して動かせる。さらに、アマゾンのクラウドに移行することも可能だ。あるいはユーザー企業が、業務アプリケーションを我々のクラウドで開発・テストし、アマゾンのクラウドや自社のデータセンターで本格運用するといった使い方もできる」(エリソンCEO)。

 一方でパブリッククラウドで先行するライバル企業、特にセールスフォースに対しては「Java EEのアプリケーションをセールスフォースのクラウドに移しても動作しない」と述べ、標準仕様を採用していないと指摘した。

 セールスフォースのPaaSである「Force.com」では、Javaに似た「Apex」という言語を使用してアプリケーションを開発する。これについて「Force.com向けにアプリを開発した場合、他のプラットフォームにそのまま移し替えられない。(米国のロックバンドであるイーグルスの代表曲)『ホテルカリフォルニア』のように、チェックインはできてもチェックアウトできない、ということなのだ。それはベンダーにはうれしい状態なのだろうが、ユーザーにとってはそうではない」と断じた。

 また、物理的に同じサーバー群を複数ユーザーで共有するマルチテナント型のアーキテクチャを他ベンダーが採用している点についても、「15年前ならいざ知らず、もはや旧式のアーキテクチャだ」(エリソンCEO)と切り捨てた。マルチテナントには設備や運用の効率を高められる、短期間でのシステム導入が可能になるなどの効果がある。だがOracle Public Cloudではセキュリティを高める観点から、こうしたアーキテクチャをあえて採用していないという。

 このほかにもエリソンCEOは、他ベンダーと比べたOracle Public Cloudの利点として、クラウド上のIT資源を一定以上に使用した際に自動で拡張でき、しかも拡張容量に制約を設けないという点をアピールしていた。