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 2011年12月1日、日経ビジネスが報じた「ドコモ、来年夏にiPhone参入」のニュースは、これからの日本の携帯電話市場を見る上で一つの大きな命題を与えた。筆者はKDDIがiPhoneに参入する以前の状況を、日本は世界の他の市場に比べてiPhoneのシェアが低い“iPhone不毛の地”と表現した(関連記事:シンクタンクの視点:日本はiPhone不毛の地)。だが、KDDIが参入し、そして仮にNTTドコモもiPhoneを販売することになると、市場は一変しそうだ。以下では、(1)通信事業者のプラットフォーム、(2)他事業者への影響、(3)Android端末への影響――の三つについて、現時点で予想され得る影響を考察していく。

「iPhoneは作り込みができない」としていたNTTドコモ

 NTTドコモはこれまで、iPhoneを扱わない理由として、通信事業者のプラットフォームをスマートフォンで実現するにあたって、Androidでは可能な端末への作り込みが、iPhoneではできないことを挙げていた。だがスマートフォンの普及が進むにつれ、市場が求めるプラットフォームは通信事業者が提供するものだけではなくなってきている。

 NTTドコモはスマートフォンに大きく軸足を移すにあたり、「iモード」で築いた国内市場での確固たる地位を維持すべく、サービスの進化を追求してきた。その原動力となったのは、間違いなく対iPhoneという意識があったからだろう。

 一方で、10月から販売が始まったKDDI版iPhoneの好調ぶりは明らかだ。とにかくiPhoneは売れる端末なのである。NTTドコモがAndroid端末に全精力を傾けても、端末販売ランキングの上位はiPhoneで占められている。

 さらに、スマホ時代になって、利用者が端末や通信事業者を選ぶ基準が変わってきたことも背景にあるだろう。ケータイで使うメールをGmail中心にしたり、メールでやり取りしていた連絡をSNSでするようにしたり、というスマホユーザーは少なくないだろう。

 フィーチャーフォンでは、通信事業者が提供してきたプラットフォームサービスが利用者が最初に接するものであることが多く、そのサービスの利用自体が通信事業者の乗り換えを防ぐ効果も持っていたと考えられる。しかしスマホでは、通信事業者以外のプレイヤーが提供するプラットフォームが幅をきかせるようになってきた。

 通信事業者以外が提供するプラットフォームが出てくるに従い、通信事業者が利用者をつなぎ止める手段として、従来のプラットフォームサービスが持つ力は相対的に弱くなったと言える。結果、利用者が携帯電話を選ぶ基準は、「端末」「通信網」にシフトし、それらの品質と価格・料金を天秤にかけて選ぶようになってきたと考えられる。