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 金融庁は2012年2月17日、IFRS(国際会計基準)の適用について議論している企業会計審議会総会・企画調整部会の合同会議を開催した。2011年12月の前回会議(関連記事:適用可否決定は「2012年」にこだわらず、金融庁がIFRSに関する合同会議)での予告通り、海外調査の結果報告が中心となった。調査に参加した委員からは「日本でのIFRS導入の議論に参考になる点が多い」との指摘があった。

 海外調査は2011年11月から12月にかけて実施。対象は欧州(フランス、ベルギー、ドイツ)、北米(米国、カナダ)、アジア(中国、韓国)の計7カ国。3~6人の委員が1カ国あたり1~3日をかけて、規制当局や会計基準設定主体、証券市場、一般企業、投資家、監査法人などの関係者にヒアリングした。

 欧州調査に参加した委員は、フランスとドイツがIFRS適用対象をEUの規制市場の企業に限定している点にコメント。「日本でもIFRSを導入する際に、適用の範囲を慎重に検討する必要がある」とした。IFRSを連結財務諸表にのみ適用しており、単体財務諸表には自国基準を利用している点も、複数の委員が指摘。ある委員は「連単分離を明確に意識している」と評価した。連単分離は、審議会で日本でのIFRS適用の方向性として浮上している。

 北米調査に参加した委員からは、「カナダの事例が参考になると思う」との意見が出た。カナダは約3800社の上場企業に対して、2011年1月からIFRSを一斉適用している。「その多くは規模が小さい企業。そうした企業がどのように適用に向けて取り組んだかは、日本企業にも参考になるのではないか」との指摘があった。

 カナダではこうした小規模の企業に対して、会計士協会が教材を作成して配布したり、規制当局自身がIFRS導入について直接指導したりした。さらに2010年にIFRSディスカッショングループを作って、IFRSの適用指針・解釈指針に対する独自調査を実施し、改善点をまとめてIFRSの設定主体であるIASB(国際会計基準審議会)に提案するなど、IFRS策定の活動にも積極的に関わる姿勢を示した。これらの点も、日本の参考になるとしている。

 中国と韓国については、「国を挙げて進める姿勢を見習うべき」との意見が出ていた。2011年1月にIFRSを適用した韓国は、17団体が3年をかけて税務を含めて周辺から整備。中小企業向けに無料でコンサルティングを実施するなど教育にも力を入れた。「日本もやるからには、国を挙げて盛り上げていくくらいの気概が必要」と委員の一人は指摘した。

 中国はIFRSについてコンバージェンス(収斂)の取り組みを採用している。中国当局の担当者は委員に対して、2007年に適用を始めた新企業会計準則を「違いは『減損の戻し入れ』程度で、実質的にIFRSと同一」と主張したという。だが、金融庁は「公正価値測定や共通支配下の企業結合などの項目に違いがある」とし、しかも「全体の分量はIFRSよりも少なく、簡潔にざっくりと書いている印象」と語った。委員の一人は「それでも実質アドプション(適用)と言い切るのはしたたかで、ある意味賢い」と評した。

 このほか審議会では、議論すべき11項目として挙げていた「ASBJ(企業会計基準委員会)のあり方」「IASBのガバナンス」に関連して、IFRS財団評議委員会が2012年2月9日に公表した「戦略見直し報告書」に触れた。IFRS財団の評議員も務める住友商事の島崎憲明特別顧問は、「以前はコンバージェンスとアドプションを同等にみなしていたが、最終ゴールをアドプションとしている」と語った。ただし、「コンバージェンスはアドプションに至る道筋として尊重する。個人的な見方では、カーブアウトも同じことが当てはまる」とする。次回の合同会議は2月29日に開催する予定である。