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 総務省は2012年3月23日、無線LANビジネス研究会の第1回会合を開催した。この研究会は無線LANに関する現状の整理と、安心安全な利用や普及に関する課題の抽出・整理、必要な方策の検討を目的としている(関連記事)。

 第1回会合では、総務省がまず概要を説明。次に、無線LANを使ったビジネスを展開するNTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)、KDDI、ワイヤレスゲートの3社がプレゼンテーションを実施。その後、質疑応答となった。

 各社のプレゼン内容は以下のようなものだった。NTTBPは、同社が進めている共用型の無線LANアクセスポイント(AP)の卸ビジネスを紹介。同社の設備ではマルチSSID、マルチVLAN、マルチ認証サーバーを用いて、同一のインフラを用いて複数の事業者がサービス可能だ。この設備を用いてNTT東西、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズというNTTグループ4社に加え、他の通信事業者やサービスプロバイダーもサービスを展開している。2011年9月現在の同社のAP数は1万局だが、スマートフォンの浸透によってトラフィックが急増し、オフロードのニーズが高まっていることから、2012年9月には3万局、2013年3月までに10万局に増やす計画とした。

 KDDIは、トラフィック急増によってオフロードの推進が経営課題になっていることから、無線LANサービス「au Wi-Fi spot」を拡充している取り組みを紹介。総務省調べでモバイルトラフィックは1年で2.2倍に増えているが(関連記事)、同社ではそれを上回る3倍の伸びを示しているという。同社は、通信の品質をエリアごとに解析できる「品質情報解析システム」を持っており、このシステムを利用して混雑個所に重点的にAPを設置している。例えば宅内にAPを設置した場合、3Gの通信量の約40%が無線LANにオフロードされる効果も明らかにした。

 さらにKDDIは無線LANを接続しやすくする別の取り組みとして、同社が採用するAPはビームフォーミングに対応しているのでエリアの隅々まで電波を届けやすいこと、端末側で電波強度に応じて無線LANと3Gを切り替えられるアプリケーションを採用していること(関連記事)などを紹介した。

 ワイヤレスゲートは、自社でスポットを展開せず、他社から調達したインフラをアグリゲーションして提供している同社のサービスを紹介。ほかの携帯電話事業者が無料で公衆無線LANサービスを急速に拡充するなか、同社のサービスで有料会員は2011年に30万人に達したという。

「本当にこのままで無線LANは大丈夫なのか」

 3社のプレゼン内容からは急速に無線LANのニーズが増し、提供形態も多様化していることが分かった。その一方で「膨大な数のAP、端末が増えていくなか、このままで無線LANは本当に大丈夫なのか。無線LANが混雑することによってつながりにくいケースも出てきている。健全な発展のためには何が必要か」(座長を務める森川博之東京大学先端科学技術センター教授)という指摘があった。

 この点についてNTTBPの小林忠男社長は、「確かに新宿・歌舞伎町などでは、2.4GHz帯の無線LANの電波が60~70くらい見える状況になっている。干渉を抑えるためには、きめ細やかなチャネル配置、5GHz帯への移行を進める必要がある」とした。なおNTTBPやKDDIのインフラ設備は既に5GHz帯に対応済み。ただし5GHz帯に対応した端末は、GALAXY SやiPadなど一部にとどまっているという。

 無線LANはアンライセンスバンドであるため、混雑の根本的な解決は難しそうだが、このような現状について今後の会合でも議題となっていきそうだ。

 研究会は今後、5月頭まで関係者へのヒアリングを行い、5月後半に論点整理、7月半ばに報告書を出すスケジュールとなっている。