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 米司法省(DOJ)は現地時間2012年4月11日、米Appleと出版大手5社が協定を結び、電子書籍の小売価格をつり上げた疑いがあるとして、ニューヨーク南地区の連邦地方裁判所に提訴したと発表した。出版5社のうち、3社とは和解することで合意しており、提出した和解案を裁判所が認めれば、米Amazon.comやBarnes & Nobleなどの小売業者が自由に販売価格を決定できるようになり、問題の一部が解決するとしている。

 訴えられたのはAppleのほか、ドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinck傘下のMacmillan、英Pearson傘下のPenguin Group。司法省と和解したのは、フランスLagardere傘下のHachette Book Group、米News Corporation傘下のHarperCollins Publishers、米CBS傘下のSimon & Schuster。

 訴状などによると、小売店の値引き販売に懸念を抱いた出版5社とAppleは協定を結んで自由な価格競争を排除したという。不正行為が行われる以前の新刊、ベストセラー書籍の電子版の価格は9.99ドルだったが、今では12.99ドルや14.99ドル、人気のある作品はそれ以上の価格で売られていると主張している。

 司法省が問題としているのは、Appleの故Steve Jobs前最高経営責任者(CEO)がiPadの電子書籍ストア「iBookstore」を立ち上げる際に出版社に提案した「販売代理店モデル」と呼ばれる契約形態。従来の「卸売りモデル」では出版社が希望小売価格の約半額で書籍を書店に卸し、書店が自由に販売価格を設定していた。これに対し販売代理店モデルでは出版社が価格を決定し、Appleが売上高の30%を受け取っている。司法省によると、Appleは競合の小売業者が同じ書籍をAppleより低価格で販売することがないよう出版社に要求していた。これにより、全米で電子書籍の価格が上昇したと司法省は主張している。

 一方、米メディア(Wall Street Journal)は、今回の提訴に関してAppleからのコメントはないが、これに先立って同社は価格カルテルの疑いを否定していたと伝えている。

 なお、こうした電子書籍の価格協定をめぐる商慣行については、米州政府の司法当局も問題視して調査しているほか、欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会(EC)も昨年12月に正式調査に乗り出している(関連記事:欧州委員会、Appleと欧米の出版大手を調査、電子書籍カルテルの疑いで)。

[米司法省の発表資料]