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 MVNO(仮想移動体通信事業者)としてNTTドコモから通信設備を借りて独自の携帯電話サービスを展開する日本通信は2012年4月19日、2010年度と2011年度のパケット接続料の算定式が両社の間で合意した内容に反するとして、NTTドコモに算定式変更などを求める訴えを東京地裁に起こした(関連記事)。NTTドコモは日本通信の一連の主張をどう受け止めているのか。同社の古川浩司・企画調整室長(写真1)に聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経コミュニケーション


争点となっているパケット接続料の算定式はどうなっている。

写真1●NTTドコモの古川浩司・企画調整室長
写真1●NTTドコモの古川浩司・企画調整室長
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 算定式は総務省の「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」で明確に規定されている。接続料原価に利潤を加えた額を需要(総帯域幅)で案分するもので、接続料原価としては設備コストや営業コスト、間接コストが規定されている(図1)。

 訴状がまだ届いていない(24日時点)ので日本通信の主張を把握しているわけではないが、これまでの報道から察するに「接続料直課コスト」を問題視しているのではないか。

 接続料直課コストとは、相互接続に関わる人件費や物件費、事業者間精算に関わるシステムの費用などだ。2011年度接続料では、まず2010年度役務別費用からデータ通信部分だけを抜き出し、工事料や付加機能使用料などを除外。そのうえで契約数連動コストとトラフィック連動コストに分け、後者から間接コストなどを除外し、そこに報酬を加えて帯域幅で除算するといった処理をしている(図2)。接続会計制度に基づいてコスト表を作り、第三者の公認会計士のチェックを経た厳正なものだ。

図1●「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」で定めるパケット接続料の算定方法(NTTドコモの説明資料)
図1●「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」で定めるパケット接続料の算定方法(NTTドコモの説明資料)
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図2●接続料原価の算定プロセス(NTTドコモの説明資料)
図2●接続料原価の算定プロセス(NTTドコモの説明資料)
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接続料直課コストはどう関係してくるのか。

 接続料直課コストは、2008年度と2009年度のパケット接続料に含めていなかった。当社は接続事業者に当然負担していただくべきコストと考えているが、当時は実績データがなかったためだ。その場合は推計値で算出する方法もあるが、ガイドラインの考え方は基本的に実績ベース。実績データが集まるまで加えなかった。日本通信がサービスを始めたのは2008年8月で、通年の直課コストを把握できたのは2009年度決算を終えてから。その実績を基に2010年度から接続料に加えた。

日本通信との契約における「接続料直課コスト」の扱いは。

 直課コストは当社独特の呼び方で、ガイドラインでは共通費や管理費など間接コストの扱いになる。間接コストが重複して原価に入っているように思えるかもしれないが、直課コストは全く別の間接コスト。あらかじめ分計した上で最後に加算しているだけで重複ではない。先方(日本通信)も直課コストの加算を譲れないから訴訟したのだろうが、我々も譲れない一線だ。

 日本通信は合意違反と主張しているが、理解に苦しむ。(日本通信が)まずレイヤー3接続でサービスを円滑に始められるように、本来は接続約款で対応するところを、覚書で個別に対応した。レイヤー2接続に移行した現時点で、それを適用するのはそもそもあり得ない。また、レイヤー3接続のときに合意した内容にもコストの範囲の定めはなかった。「コストはこれに限定する」といった取り決めをしていない以上、合意違反には当たらないはずだ。

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