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写真1●気球無線中継システム(ソフトバンクの広報資料から引用)
写真1●気球無線中継システム(ソフトバンクの広報資料から引用)
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写真2●ヘリウムガス気球の写真。実証実験では一回り大きな気球を使う予定
写真2●ヘリウムガス気球の写真。実証実験では一回り大きな気球を使う予定
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 ソフトバンクモバイルは2012年5月10日、係留気球を使った携帯電話向け臨時無線中継システムを開発したと発表した。携帯電話向けのアンテナを搭載した中継局を気球で高い位置に飛ばすことで、広範なエリアをカバーできるのが特徴。災害で通信障害が発生しているエリアを迅速に復旧させる用途を想定する。愛知県稲沢市の木曽川周辺で来年6月末まで実証実験を行い、早期実用化を目指す。気球を活用した通信システムは珍しい。

 今回開発した気球無線中継システムは、親機に当たる中継元基地局と子機の気球中継局で構成する。気球中継局は2つのアンテナを搭載し、親機と子機の間の中継には3.3GHz帯周波数、子機と携帯電話機との間は2.1GHz帯周波数を使う。使用帯域幅はともに5MHz幅。親機の中継元基地局(移動無線車)から先は有線で携帯電話網につなぐ。

 気球中継局は位置と高度を安定させるために係留気球を用いる。北海道大学大学院情報科学研究科の小野里雅彦教授との共同研究に基づき、ソフトバンクモバイルが気球の空中姿勢が安定する扁平型気球を製作した。気球上の無線中継局は地上の無線中継車から係留装置を通じて有線の電源ケーブルで給電する。地上の無線中継車に燃料を与え続けている限り稼働できる。

 実証実験では災害時を想定して親機から5キロメートル以上離れた場所に子機を設置。気球の高度は地上から100メートル程度を想定し、郊外地で最低半径3キロメートル以上のエリアをカバーできる見込み。総務省の技術基準は満たしており、実験を通じて通信速度や通信品質などを検証していく。

 気球無線中継システムの費用は非開示。災害時に使う無線中継車は一般的に乗用車型で半径1キロ~2キロメートル、トラック型で最大半径10キロメートルをカバーできるものがあるという。気球を活用した場合に費用をどこまで削減できるか、設置までの時間をどれだけ迅速化できるか、ヘリウムガス気球で災害時の長時間運用に耐えられるかなどがポイントとなりそうだ。

 ソフトバンクは気球無線中継システムの主な利点として、(1)カバーエリアの広さ、(2)機動性、(3)電力消費量の3点を挙げる。無線中継車も大型を使って電波の出力を上げれば広範囲をカバーできるが、アンテナ角度が制限され、周囲の障害物に影響を受けやすい。気球を使えばこれらの影響が出にくい。さらに小型の無線中継車で移動できるので小回りが利き、設置時間もそれほどかからないという。気球上の無線中継局も小型なので電力消費量が少なくて済む。

■変更履歴
記事の最後に気球無線中継システムの利点を説明する段落を追記しました。 [2012/05/10 20:26]