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 ピーエムシー・シエラ・ジャパンは2012年6月5日、10G-EPON向けチップを発表した。10G-EPONは、最大10Gビット/秒のFTTHを実現するための光アクセス規格。収容局側の光ファイバーを分岐させて多数のユーザーで共用するPON(Passive Optical Network)と呼ばれる方式の一種である。

 同社は、2年前にシステムベンダーの試作用としてFPGAベースのチップを発表している。今回発表したのはASSP(特定用途向けの汎用チップ)で、「チップベンダーとして商用レベルと考えている」(同社社長の西村誠司氏)という。すでにシステムベンダーにチップの提供を開始しており、中国や北米の通信事業者がフィールドトライアルを実施している。

 今回同社が発表したのは、局側終端装置であるOLT向けの「PAS8101」と、ユーザー側終端装置であるONU向けの「PAS9201」。同時に、既存のEPON(GE-PON)用ONU向けにも新チップ「PAS6400」を発表した。

 これらの大きな特徴は、IEEEで策定中の新規格「SIEPON」のパワーセーブ機能を利用し、ONUの消費電力を最大で50%削減すること。このパワーセーブ機能では、通信していないときにONUの機能を一部停止することで、消費電力を削減する。同社によると、一般的なONUが起動時に消費する電力は、10G-EPONで約4.5ワット、GE-PONで3.5~4ワット。今回のチップを使ったONUでは、これらの電力を半分に減らせるという。

 既存のGE-PONに比べ、10G-EPONは単に高速化するだけではなく、その使い方も変わってくる。GE-PONの場合、基本的には戸建てや集合住宅に対し個別のOLTを用意してサービスを提供していた。これに対し10GE-PONでは、戸建てや集合住宅の個人ユーザー、企業オフィス、携帯電話基地局など様々なタイプのユーザーや用途を同じOLTに収容し、すべてのトラフィックを1本の10Gビット/秒のパイプに通すなどの使い方が想定されている。

 今回のチップには、こうした10G-EPONの利用シーンに適した機能も追加されている。その一つが、多数のキューによるきめ細かいQoS(サービス品質)制御である。「GE-PON向けチップでは8個のキューだけしか搭載していなかったが、今回の10GE-PON向けチップでは1000~2000個のキューを搭載している」(PMCシエラ FTTHディビジョン プロダクトマーケティング ディレクターのアミア・シェファー氏)という。

 このほか、携帯電話基地局を収容するために必要なクロック配信・時刻同期機能(ITU-TのSync-E、IEEE 1588v2)、局側から光ファイバーの断線・曲げ異常を自己診断する機能(ODTR:Optical Time Domain Reflectometer)を標準で搭載している。