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写真1●まつもとゆきひろ氏
写真1●まつもとゆきひろ氏
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写真2●IPA Ruby標準化検討ワーキンググループ委員長 中田育男氏
写真2●IPA Ruby標準化検討ワーキンググループ委員長 中田育男氏
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写真3●日立ソリューションズ 技術開発本部 本部長 正村勉氏
写真3●日立ソリューションズ 技術開発本部 本部長 正村勉氏
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写真4●パネルディスカッション。左からモデレータのIPA 田代秀一氏、まつもとゆきひろ氏、Ruby標準化検討ワーキンググループ委員長 中田育男氏、日立ソリューションズ 正村勉氏、IIJ 立久井正和氏、ティージー情報ネットワーク 武藤紀之氏、九州工業大学 田中和明氏
写真4●パネルディスカッション。左からモデレータのIPA 田代秀一氏、まつもとゆきひろ氏、Ruby標準化検討ワーキンググループ委員長 中田育男氏、日立ソリューションズ 正村勉氏、IIJ 立久井正和氏、ティージー情報ネットワーク 武藤紀之氏、九州工業大学 田中和明氏
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写真5●東京ガスの地震防災システム「jishin.net」
写真5●東京ガスの地震防災システム「jishin.net」
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写真6●福岡県による組み込み向けRubyの研究開発
写真6●福岡県による組み込み向けRubyの研究開発
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 情報処理推進機構(IPA)とRubyアソシエーションは2012年6月5日、「Ruby国際標準化報告会」を開催した。同報告会は、2012年4月にRubyがISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)の標準規格として承認された(関連記事)ことを受けてのもの。Rubyは、日本発のプログラミング言語として初めての国際規格となっている。

 基調講演に登壇したまつもとゆきひろ氏(写真1)は「自分の趣味としてRubyの開発を始めたときは、海外で多くの人に使われるようになり、国際規格となるとは思っていなかった」と振り返った。まつもと氏はオランダのRubyイベントから戻ったその足でこのイベントに参加。先週にもベトナムのRubyイベントに招待されるなど、多忙を極める。「国際規格となったことで安心感が得られ、政府・自治体の調達やビジネスによい影響が出ることを期待している」とまつもと氏は語った。

 最初は、まつもと氏のものしかなかったRubyの処理系も、現在ではJava仮想マシン上で動くJRuby、RubyとC++で書かれたRubinius、Smalltalkで書かれたMagLevなど多くの種類が開発されている。まつもと氏自身も、組み込みシステム向けに新しくmrubyを開発している。標準化により、これらの互換性もとりやすくなると期待される。

 今後の課題としては、Ruby 1.8を基に作成された現在の規格を、Ruby 1.9および2.0に対応させていくことなどを挙げた。

 「日本のITもやればできると感じてもらえればうれしい。日本がオープンソースソフトウエアを使うだけの国から、自ら作り、世界に普及させる国になることを願っている」と、まつもと氏は希望を語った。

 2008年に標準化検討委員会を設置し、規格を作成するなど標準化を推進してきたIPAの理事長 藤江一正氏は、「Rubyの仕様はコミュニティのもの。その標準化を支援するというスタンスであたってきた」と語る。

 規格の作成を担当した、IPA Ruby標準化検討ワーキンググループ委員長 中田育男氏(写真2)は「2008年11年に標準化検討委員会を設置してから交わしたメールの数は8000通を超えた」と、長きにわたった標準化の経緯を振り返った(関連記事)。中田氏は筑波大学 名誉教授で、まつもと氏の恩師でもある。

 日立ソリューションズ 技術開発本部 本部長 正村勉氏(写真3)は「挑戦!大規模システムをRubyで構築」と題し、同社の事例を紹介した。制度改正時の改修を容易にできるようにするため、Javaによる約200画面、バッチ30本のシステムをRubyで再構築した。チューニングや並列化により、当初7時間かかったバッチ処理を1時間10分に短縮したという。

 最後に、IPA 技術本部 国際標準推進センター長 田代秀一氏をモデレータに「国際標準化により膨らむ可能性と期待」と題しパネルディスカッション(写真4)が行われた。

 ティージー情報ネットワークの武藤紀之氏は、東京ガスの地震防災システム「SUPREME」というミッションクリティカルなシステムをRubyで開発したことを紹介(武藤氏の講演資料)。SUPREMEは東日本大震災の際も正常に動作し、その使命を果たしたという。防災システムで収集しているデータは「jishin.net」としてインターネットでも公開されており、こちらもRuby製だ(写真5)。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)の立久井正和氏は、同社で開始するRuby PaaS(Platform as a Service)「IIJ GIO MOGOK」を紹介した。2012年8月からオープンβサービスを開始する予定だ。IIJ自身、さまざまなサービスの裏側でRubyを使用しているという。

 九州工業大学 情報工学部機械情報工学科准教授 田中和明氏は、同氏が福岡県と行なっている組み込み向けRuby開発プロジェクト(写真6)を紹介した(関連記事)。まつもと氏が開発しているmrubyもこのプロジェクトの一つ。福岡県は「福岡Rubyビジネス拠点推進会議(F-Ruby)」を設立してRubyを核にした産業振興に取り組んでおり、研究はその一環である。福岡県内のRuby企業数は192社に達しているという。

 このようなRuby活用の広がりを受け、IPAの田代氏と標準化検討ワーキンググループ委員長 中田氏は、今後も最新バージョンへの対応など、Ruby規格のアップデートを続けていきたいと意欲を示した。

■変更履歴
第3段落で「C++で書かれたRubinius」としていましたが、「RubyとC++で書かれたRubinius」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/06/06 11:44]