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パネルディスカッションの様子。民主党、自民党の議員や、文部科学省の大臣官房審議官なども登壇した
パネルディスカッションの様子。民主党、自民党の議員や、文部科学省の大臣官房審議官なども登壇した
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活動報告する、中村伊知哉事務局長
活動報告する、中村伊知哉事務局長
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基調講演に立った陰山英男副会長
基調講演に立った陰山英男副会長
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 デジタル教科書教材協議会(DiTT)は2012年6月5日、デジタル教科書に関するシンポジウムを開催した。その場で、同協議会がまとめた「デジタル教科書法案」を発表。デジタル教科書を正規の教科書として認めることなどを盛り込んでいる。

 現在、デジタル教科書は法律的に正規の教科書として扱うことができない。学校教育法や著作権法などで、教科書は「図書」、つまり紙の書籍と定められているためだ。このため、デジタル教科書は教科書検定の対象になっていない。また著作権法では、教科書は必要な範囲で著作物を掲載できると認めているが、デジタル教科書はこうした特例が適用されない。DiTTでは2012年4月5日に「DiTT政策提言2012」を発表し、こうした法律の改正などを提言した。「これまでいわば“タブー”だった。それに思い切って切り込んだ」(DiTT事務局長で慶應義塾大学メディアデザイン研究課教授の中村伊知哉氏)。

 今回のデジタル教科書法案は、これに基づくもの。法制度の改正や、国がデジタル教科書用の端末を児童生徒に無償で配布すること、国や地方公共団体がデジタル教科書普及促進のために必要な措置を講ずること、などを盛り込んだ。このように国に積極的に働きかけることにより、「2015年までに1000万人の子どもたちにデジタル教科書を整備する」との目標の実現を目指す。2015年に全ての小中学生に教科書用端末を配布するための費用は2100億円、など、財政面の試算も公開した。

 シンポジウムでは、実証実験の報告のほか、DiTTの副会長で立命館大学教育開発推進機構教授の陰山英男氏が基調講演。デジタル教科書/教材で効率的な反復学習が可能になること、それによって学習内容が児童生徒に定着しやすいことなどを、自身の経験を基に説明(関連記事)。動画教材の活用に大きな可能性があることや、立命館小学校で教育用コンピューターを開発したいとの構想も語った。

 シンポジウムの最後には、有識者8人によるパネルディスカッションを実施。民主党の「教育のICT化推進に関するワーキングチーム」で活動する石橋通宏参議院議員や、自民党の情報化教育促進議員連盟で事務局長を務める遠藤利明衆議院議員などが登壇。「我々の中の議論でも、検定教科書化を志向していこうという話になっている」(石橋氏)など、政界での動きについて語った。

 ITジャーナリストの趙章恩氏は、韓国における教育の情報化の現状を紹介。「韓国ではデジタル教科書導入のために全面的に法律を改正した」と話す趙氏に、中村氏が「それほどの大きな改革に対して反対はなかったのか」と問うと、「反対の動きは90年代には終わっている。今では、世界的な時代の動きに合わせなければ取り残されると皆が分かっている」などと趙氏が返し、会場をうならせた。

 慶應義塾大学政策メディア研究課特別招聘教授の夏野剛氏は、保護者の姿勢について言及。「日本は、東京も地方も、公立も私学も、みんな横並びでやらなければならないというメンタリティがある。だがデジタル教科書は、さまざまなトライアンドエラーをしながら成功例を作っていかなくてはならないもの。親が、いろんな学校があっていい、というメンタリティを持つことが大事だ」と指摘した。