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写真●「IT Japan 2012」で講演するNTTデータの岩本敏男代表取締役社長(写真:中根祥文)
写真●「IT Japan 2012」で講演するNTTデータの岩本敏男代表取締役社長(写真:中根祥文)
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 「高性能化するICT(情報通信技術)をどう活用するかが、社会を変革するカギを握る」

 2012年7月4日に開幕した「IT Japan 2012」(日経BP社が6日まで東京・品川プリンスホテルで開催中)では、6月20日にNTTデータ社長に就任したばかりの岩本敏男氏が登壇。性能向上や高度化が進むICTを、社会変革に活用する重要性を訴えた。

 まず岩本社長は「世界規模で社会が大きな変動期を迎えている」と指摘。欧州連合(EU)域内での若者の失業率が急増したことや、湾港のコンテナ取扱高の上位が、1980年代初期から2011年の間に、日本や欧米の都市からほぼ中国の寡占状態に移ったなどの事実を紹介した。主要国の人口ピラミッドも示し、少子化を背景に日本など先進国で高齢化が著しく進み、今後は中国も急速に高齢化していくと指摘した。

 岩本社長によると「世界規模で経済や社会構造が大きく変化した背景には、ICTの発展も要因の一つになった」という。ICTの性能向上は今も続いており、今後は情報社会で四つの変化が起こってくるとした。

 一つめは、ユーザーの要求をリアルタイムに満たせるようになる変化である。支える要素技術の一つがセンサーで、例えば、高齢者の健康状態をセンサーで常に管理し適切な診療を施す医療サービスが普及するという。

 橋梁や道路などの構造物にひずみや加速度(ゆれ)などを図るセンサーを取り付け、維持管理作業を効率化するモニタリングシステムも応用例の一つ。2012年2月に開通した「東京ゲートブリッジ」など、NTTデータの導入実績を示しながら、常に情報を収集できるセンサーネットワーク、センサーから集まる大量のリアルタイム情報処理に向いた、CEP(複合イベント処理)などの技術がカギを握るとした。

 岩本社長が指摘する二つめの変化は、企業の競争力の源泉が知識やノウハウに移ることである。従来は優れた製品やサービスが競争力を左右したが、陳腐化し価格競争に巻き込まれる期間が早まっている。

 そこで、「優れた製品などを生み続け、競争を優位に保つ仕組みを作ることが重要になる」という。この仕組み作りでICTが貢献できるといい、一例として不定型なデータを集約して整理、分析できる「データフュージョン」技術を挙げた。この技術を用いれば、社内の知識やノウハウを全社で共有できるようになるという。

 三つめの変化は、マス重視から個重視へのシフトである。岩本社長は例として、位置情報を使ったサービス提供や、遺伝子情報を用いた個別医療、ソーシャルネットワーク分析などが実用化に向かっている点を挙げた。

 四つめの変化は、誰でも活用できるITの普及である。音声認識やジェスチャー認識、拡張現実などの技術でITの使い勝手が改善するほか、リアルタイムでの機械翻訳技術が普及し、言語ギャップの解消にITが活用されるようになるという。

 岩本社長は、ICT活用を社会に提案するだけでなく、自社でもソフトウエア生産技術の改革に活用する取り組みを紹介した。設計の正しさを自動検証したり、テスト工程の自動化に取り組んでいるという。「私自身、30年前からこのテーマに取り組んできたが、ICTの性能向上で、ようやく実現できる段階に来た」(岩本社長)。近い段階での実用化に自信を示した。

■変更履歴
当初、岩本社長と記述すべきところが、一部岩谷社長となっておりました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/07/04 17:50]