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 自然災害とITの活用をテーマにした国際会議「Big Tent 2012」が、2012年7月2日に仙台市で開催された。主催は米グーグル。7月3日~4日に「世界防災閣僚会議in東北」が東北の被災3県で行われることもあり、政府、国際団体、企業、大学、民間ボランティア組織などから要人が世界各地から集まった(写真1、2)。

写真4●2011年だけでも820件の甚大な自然災害が報告された
写真1●開会のあいさつをした参議院議員の鈴木寛氏
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写真5●経済的な損失は増加傾向にある
写真2●内閣府特命担当大臣(経済財政政策・科学技術政策)担当の古川元久氏はビデオメッセージを寄せた
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 終日行われた会議は、国連事務総長特別代表防災担当のマルガレータ・ワルストロム氏の基調講演を挟み、「災害におけるIT活用の可能性」「世界各地でのケース・スタディ」「政府と民間の協力可能性」の3部構成。各部について、2~5人が参加するディスカッションが2~4セッション盛り込まれるという、密度の濃い会議となった(写真3)。

写真3●パネルディスカッションの様子
写真3●パネルディスカッションの様子
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オープンなデータとは何か

 複数のセッションで話題になったのが、オープンデータの重要性である。日本に限らず、災害時に政府などが公開するデータが再利用できなかった事例などが報告された。「政府が出す文書がPDFでは再利用できない。改善を求めて通達を出した」(経済産業省 CIO補佐官の平本健二氏)、「PDFを公開してデータがオープンだとする政府関係者がいるが、実はPDFはクローズドデータの象徴だ」(タイから参加したChangeFusionのクライコン・ヴァイダヤカーン氏)といった具合だ。そのうえで、オープンAPIを通じたデータ公開の重要性や複数のデータを重ね合わせることによる付加価値が紹介された。

 災害後に発生する大量のデータの一元管理や質の見極めも話題の一つだった。トレンドを見極めるため、データの一元化は不可欠だとする声がある一方、「一元化よりも、標準化やスタンダード化の方が重要」(国連人道問題調整事務所のグィヨプ・ソン氏)、「津波はすべてのインフラを破壊した。複数の場所にアーカイブしておき、どこからでもアクセスできるようにするのがいい」(慶應義塾大学環境情報学部長の村井純氏)という意見が出された。

 データの質については、「誰からの情報か」という情報源の見極めが重要だとする声が多数あった。「ネットを使えば、誰が質のいい情報を持っているか分かる」(ワールドビジョンのルー・オーガスト氏)。同氏はさらに「質のいい情報の組み合わせによって、さらに質が上がる」ことも指摘、「だれにもオープンであることが重要だ。NPO(非営利団体)の力を過小評価すべきではない」と力説した。