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写真●「IT Japan 2012」で講演するセールスフォース・ドットコムの宇陀栄次 代表取締役社長 兼 米国セールスフォース・ドットコム EVP(上級副社長)(写真:中根祥文)
写真●「IT Japan 2012」で講演するセールスフォース・ドットコムの宇陀栄次 代表取締役社長 兼 米国セールスフォース・ドットコム EVP(上級副社長)(写真:中根祥文)
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 セールスフォース・ドットコムの宇陀栄次社長は2012年7月5日、日経BP社が東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント「IT Japan 2012」において、「新しい社会インフラにおける新しい経営」というテーマで講演した。

 宇陀社長はまず、同社のクラウドサービスを採用した最新の事例およびトピックスを紹介。日本生命やアスクル、キヤノンマーケティングジャパン、日本郵政グループなどがクラウドを使って大規模なシステムを短期間で構築し、開発期間の短縮やコストの削減、生産性向上といった様々なメリットを得られているという現状を報告した。

 例えばアスクルの場合、システム構築に当たって同社のクラウドを採用すると共に、ユーザー部門やシステム部門、ベンダーなどがチームを組んで集まり、短いスパンで機能を実装しながらレビューを繰り返すといういわゆる「アジャイル型」の開発手法を採用。これにより、全国3拠点700人の大規模なコールセンターシステムを従来のウォーターフォール型開発手法と比べて導入期間が3分の1(4カ月)、導入コストが5分の1で済んだという。

 「年間163万、月間15万コールというかなり規模の大きさのコールセンターだったため、運用開始初日には大変緊張したが、ふたを開けてみれば起こったトラブルはたった4件、いずれも5~10分程度で解決できる軽微なものだった」(宇陀氏)。

 こうした実際の成功事例を紹介した上で、宇陀社長は同社のクラウドを導入することのメリットについて、ユーザー側とパートナー側それぞれの立場に分けて解説した。ユーザー側のメリットとしては、「プロジェクトの遅延や延長による追加費用が発生しないこと」や「専門家による24時間365日の監視が受けられること」「要件があいまいなケースでも、すぐに着手できること」などを挙げた。

 一方、同社のクラウドを利用してユーザー企業向けにシステムを構築するパートナー側のメリットとしては、「SIビジネスとしての事故(赤字プロジェクト)がないこと」「トラブル対応がほとんど要らないこと」などを紹介。ユーザー側と同様に「要件があいまいなケースでも、すぐに着手できること」や、上述のアスクルの事例のように「アジャイル開発による効率的なビジネス(短納期)が可能なこと」などもメリットであるとした。

コンシューマー系技術を企業システムに取り込む

 ここまで話したところで宇陀氏は話題を大きく転換し、クラウドの登場やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及によって、企業の情報システムやソフトウエア開発において大きなパラダイムシフトが起こっている現状について話を始めた。

 宇陀氏によれば、1995年のパソコン向けOS「Windows 95」の登場を皮切りに、2000年の米Yahoo!によるポータルサービス、2005年のGoogleデスクトップ検索、2010年のiPad登場という具合に、5年おきに「ユーザーが見る最初の画面を取る」形でコンシューマー系IT技術のイノベーション(革新)が起こってきたという。

 こうしたメガトレンドを紹介しつつ、宇陀氏はセールスフォース・ドットコムのポジショニングとして、これらトレンドリーダーを含む主要なIT系企業と広く提携や連携をしており、クラウドを通じて優れた消費者向け技術を法人向けに提供するという橋渡し的役割を果たしている点を強調した。「これからソフトウエア産業に入って仕事をしようと思ったら、コンシューマー系技術はもはや無視できない。コンシューマー系技術をいかに法人向けサービスに展開するかが成功の鍵を握ることになる」

 クラウドの導入やコンシューマ系技術の取り込みなどによって企業システムがどんどん進化していく中で、今後重要になる要素はいったい何か。宇陀氏はその答えとして「可視化」を第一に挙げた。「社内や社外といった垣根を越え、また、いわゆるプッシュ型の企業内SNSサービスなども含めたあらゆるサービスから顧客の声を取り込むことで、“少し先の将来の見える化”を実現する。これが新しいパラダイムにおけるビジネスチャンスを生み出す」

 宇陀氏は最後に「今後日本でももっと個人が評価されるようになるべきだ」と話し、日本企業に対しては「新しい技術やサービスに対する寛容さや積極さ、強さを認める姿勢を今以上に積極的に持つべきだ」と注文を付けた。加えて、日本企業のクラウドとの関わり方についても言及し、「クラウドを1ユーザーとして使うだけではなく、自分たちの新しい事業にどう組み込んで新しい価値を創造できるかをより真剣に考えていくべき。日本にはまだまだ大きな可能性があると考えている」と述べて講演を締めくくった。