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 総務省の無線LANビジネス研究会は2012年7月10日、第7回会合を開催した。最終回の今回は、前回議論した報告書案(関連記事:総務省、無線LANビジネス研究会が報告書案、パブリックスペースでは共用型APの活用を求める)の修正・追加点についてと、前回予告していた移動通信トラフィックの将来動向についての総務省の試算結果を報告した。

 まず報告書案の修正・追加点については、無線LANの将来動向としてIEEE 802.11で検討が進む、接続時間を大幅に短縮する規格「802.11ai」や、Wi-Fi Allianceが推進する公衆無線LANに自動接続できる認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED Passpoint」などを追加した(関連記事:無線LAN認証高速化の11aiをAndroid機に先行実装、来年3月にはドラフトにWi-Fi Alliance、公衆無線LANに自動接続できる「Passpoint」の認定プログラム開始)。このほかは軽微な修正となっている。

現在のオフロード率は19.4%、2015年ころには64%に拡大すると推計

 移動通信トラフィックの将来動向については、2015年度の移動通信トラフィックは、2010年度比で20.8倍から39.1倍に拡大するという試算結果を公表。無線LANへのオフロード比率は2015年ころまでに64%に達するとし、2015年度時点ではオフロードの促進によって、39.1倍に膨れ上がるトラフィックも収容できる可能性があるとした。

 まず2015年度の移動通信トラフィックの試算の内訳は、スマートフォンやモバイルWi-Fiルーターの普及台数の推計に、端末1台当たりのトラフィック需要の推計を掛け合わせることで導きだした。

 スマートフォン普及台数の推計としては、2015年度末で最も多くなる場合で9400万台(全体の76%)、最も少なくなる場合で7850万台(全体の63%)とした。端末1台当たりのトラフィック需要については、フィーチャーフォン、モバイルWi-Fiルーター、スマートフォンでそれぞれどう推移するのか推計。フィーチャーフォンは現在のトラフィック需要が継続、モバイルWi-Fiルーターは年間1.2倍で推移、スマートフォンは年平均1.64倍で伸びるとした。

 無線LANオフロード率については、総務省が2012年5月にモニター調査(対象:947人)した結果から推計した。現時点のスマートフォンのオフロード率は32.7%であり、これを移動通信トラフィック全体のオフロード率に換算したところ(スマートフォンのトラフィック比率は全体の59.4%)、現在のオフロード率は19.4%という値になった。

 これをベースに、固定ブロードバンド契約者の自宅無線LANの利用率の向上(30%から72%に拡大と予測)、移動通信トラフィック全体に占めるスマートフォン比率の上昇を勘案し、2015年ころまでには移動通信トラフィック全体の64%がオフロードされるという値を導き出した。

 2015年において64%が無線LANへオフロードされるという予測を、先に2015年度には39.1倍に膨れ上がるとした移動通信トラフィック予測に当てはめると、オフロードされない、移動通信網が支えなければならないトラフィックの伸びは約12倍という計算になる。12倍の伸びについて総務省は、割り当て周波数帯の拡大やLTEの普及、基地局能力の向上によって収容可能とし、39.1倍のトラフィックの伸びも支えられる可能性があるとした。

 無線LANビジネス研究会の報告書は近日中に公表される見込み。その後は報告書案に書かれたように、無線LANに関して事業者が連携・協調する場となる協議会の設置や、公衆無線LANサービスの事業運営に際して留意すべき事項などを総務省がガイドラインとして策定する取り組みが進むことになる。