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 V-Lowマルチメディア放送推進全国協議会主催の「第1回V-Lowマルチメディア放送 シンポジウム」が2012年7月23日に開催された。この日は、三つの地域協議会から進捗状況の説明が行われたほか、ラジオビジョン分科会と技術分科会における議論を整理した中間とりまとめの案の内容が、各分科会の主査から報告された。

自治体セグメント導入、音声セグメントは1セグ

 ラジオビジョン分科会(主査は音好宏・上智大学教授)は、V-Lowマルチメディア放送の上で実現するラジオ放送のビジョンを検討してきた。V-Lowマルチメディア放送では、例えば県域7セグ、ブロック11セグを確保できると想定する。そして、県域では「自治体利用に1、音声利用に1」、ブロックでは「自治体利用に2、音声利用に1」の割り当てをイメージする。

 総務省の「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」報告書との違いを見ると、既に宮城V-Lowマルチメディア放送実験協議会の計画書にも登場したキーワードである「自治体利用セグメント」の導入が想定されている。緊急災害速報や安否情報、被災者支援など防災・減災に向けた情報を放送する。一方、研究会報告では災害関連情報を提供するデータ領域を含める形で音声優先セグメントとして県域1セグ、ブロック2セグの割り当てが想定されていたが、分科会の中間とりまとめ案では災害関連情報の提供は自治体利用セグメントに委ねてデータ放送帯域を設けないかわりに、音声利用セグメントはブロックも1セグとした。

 また、研究会報告ではハード事業者は全国1社を前提にしていたが、県域やブロック単位にハード会社を設立することが合理的とした。各地の事情を斟酌しながら自治体などと防災・減災のための対策を成案にしていくことを想定するためだ。

音声利用セグメントをどう運用するのか

 各論では、音声利用セグメントの活用を中心に議論が進められている。想定では、1セグメントの帯域を利用すれば、5ch程度の音声ストリーミング放送が可能である。全国の民放ラジオ局が現行アナログ放送の移行先としてV-Lowマルチメディア放送に参入する場合は、この音声利用セグメントで各局のアナログ放送をサイマル放送すると考えられる。ここで課題となるのは、「各局の放送の束ね方」「5chに満たない地域への対応」である。

 中間とりまとめ案では、ラジオ局各社/ラジオ業界全体として「自ら束ねるのか、他社に束ねてもらうのか」を、V-Lowマルチメディア放送における事業戦略を踏まえて早急に検討すべきとした。また、音声利用セグメントと自治体利用セグメントのいずれもが、「ハード放送会社の直営が合理的であり、現実的ではないのか」としている。

 音声利用セグメントにおけるストリーミング放送で想定される参入事業者は、既存のアナログラジオ事業者と、既存のコミュニティFM局の一部、新規参入事業者である。ただし既存のコミュニティFM局の一部が参入するには、帯域使用料の負担が大きいという課題がある。そこで、中間とりまとめ案ではまずは音声ストリーミング放送を優先し、次に「IPDC(ファイルキャスト)によるコミュニティ放送」を受け入れるのが合理的とした。なお、この中間とりまとめ案では、コミュニティ放送は「コミュニティ単位の情報を住民が共有するための放送」という意味で用いられている。もちろん既存のコミュニティFM放送を含むが、もう少し広い概念で使われている。

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