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写真1●TechCrunch Japanの西田編集長(左)の質問に答えるゼンストローム氏(右)
写真1●TechCrunch Japanの西田編集長(左)の質問に答えるゼンストローム氏(右)
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写真2●対談に三木谷氏が加わり、事業のグローバル化について議論した
写真2●対談に三木谷氏が加わり、事業のグローバル化について議論した
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 ロンドンに本社を置くベンチャーキャピタル(VC)のアトミコが、2012年9月25日、日本事務所の開設を記念したイベント「ATOMICO Open Office in Tokyo 2012」を開催した。イベントには、アトミコ創業者で、スカイプを立ち上げたことでも知られるニクラス・ゼンストローム氏や楽天・社長の三木谷浩史氏、アトミコの出資企業などが登壇し、起業家やベンチャー・キャピタリストなど550人を前に、「起業家精神」「事業のグローバル展開」などを語った。

 自ら数社の起業経験を持つゼンストローム氏は、TechCrunch Japanの西田隆一編集長からの質問に答える形で、「通信企業勤めだった自分が起業することには躊躇(ちゅうちょ)した」「最初の起業は成功とは言えなかったが、学びになったので失敗ではなかった」など、自らの経験をもとに起業家を志した経緯を披露した(写真1)。

 アトミコの本社はロンドン。ゼンストローム氏にとっても、起業家が集まる米国のシリコンバレーは常に意識する存在のようだ。「シリコンバレーのVCは、『シリコンバレーにいつ来るの?、来ないなら投資しない』と言う。彼らはローカル志向で、これは大きな問題だと思った」(同氏)。同氏は続けて「ネットのおかげで、世界の境界はなくなってきた。グローバルで勝ちたい人をサポートしたい」とした。

 この6月に事務所を新設し、今後活動を本格化する日本市場に対しては、「日本は常に重要な市場で、消費者がいいものにはお金を払うというマインドセットがあり、起業家にとってはマネタイズの機会がある」とポジティブな意向を示した。

 興味深かったのは、「どんな会社に投資するのか?」という質問に対する回答。ゼンストローム氏は「技術ではなく製品が重要」とし、新しい技術を使うという提供者側の発想ではなく、ユーザーから見た製品の価値を重視すべきだとした。

 途中から楽天の三木谷氏が登壇し、グローバル展開をテーマに対談は進んだ(写真2)。三木谷氏は、トヨタ自動車の奥田碩氏に「楽天の事業は、なぜ日本だけなのか」と言われたことが転機だったとし、目先の収益だけでなく10~20年先の楽天の事業を考えたときに海外展開は必然という考えに至ったと語った。

 楽天が取り組んでいるグローバル化の進捗について三木谷氏は「新卒社員のうち30%が日本人以外。中途採用については70%に上る」「執行役員合宿参加者の半分は外国人」という実績を報告、「海外拠点でも日本のノウハウを伝授している」「買収したKoboも、グローバル企業に買われたと思っている」と着実に進んでいるとした。

 対談の締めくくりは若い起業家へのメッセージ。三木谷氏は「根源的な価値の源泉は何かを考えることと、商品に愛情を持つこと」の二つが起業家にとって重要だとした。この二つがあれば、難しいことも乗り越えられるというのだ。

 一方、ゼンストローム氏は「若いだけで機会がある。自分もそうだったが、世界を見てそこから考えればいい」「起業家精神は、トライアンドエラー。一つのことに執着しない」「白紙に絵を描くことを楽しむ」「自分にはない能力を持つ人を巻き込んで、共同創業者として迎えよう」「直感を信じることが重要」と呼びかけた。