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写真1●海上保安庁の巡視船「くろせ」
写真1●海上保安庁の巡視船「くろせ」
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写真2●実験に利用する可搬型基地局
写真2●実験に利用する可搬型基地局
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 KDDIは2012年9月27日、海上保安庁と協力し、携帯電話の基地局を船舶に設置して災害時の通信確保に役立てる実験を実施すると発表した。東日本大震災時に道路が寸断されて通信の復旧が遅れた地域があった教訓を踏まえて取り組む。携帯電話の基地局を船上に設置するのは国内で初めて。

 実験は広島県呉市倉橋町の海上で11月下旬に実施する。海上保安庁の巡視船「くろせ」(写真1)に実験試験局を設置し、海上から沿岸部に向けて電波を飛ばす。船上の基地局と携帯電話網をつなぐバックホール回線には衛星回線を使い、IPSTARとインマルサットの2種類で実験する予定である。

 船上に設置する可搬型基地局(写真2)は最大で半径10kmをカバーできる。ただし実験では半径3kmをカバーする出力に抑え、沿岸部から1km程度離れた海上からの電波強度などを測定する。波による揺れや潮位でアンテナの高さが変わって品質に影響が出る恐れがあるため、満潮時や干潮時をはじめ、船の向きを変えるなどして様々なパターンで実験する。実験結果を年内にまとめ、早期実用化に向けた検証を始める計画。

 今回の実験は総務省中国総合通信局が主催する「災害時における携帯電話基地局の船上開設に向けた調査検討会」に基づいたもの。瀬戸内海は島が多いため、船を活用した通信の復旧対策は有用とみている。悪天候でも出航できる海上保安庁の船舶に設置できる意義も大きいという。商用電波を用いた実験はKDDIだけだが、実験にはNTTドコモなども参画するもようだ。

 なお、現行の無線設備規則では、携帯電話の基地局は陸上に固定されていることが前提となっている。実用化には法整備が必要で、KDDIは2013年度中の実用化を目指す。