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写真●米ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 ガートナー フェローのデイヴィッド・カーリー氏
写真●米ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 ガートナー フェローのデイヴィッド・カーリー氏
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 「クラウドの時代において、IT部門は『インタフェース』としての役割がますます求められる」――。米ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 ガートナー フェロー のデイヴィッド・カーリー氏はガートナージャパンが2012年10月3日から5日まで開催中の「Gartner Symposium/ITxpo 2012」で、「クラウド・コンピューティング利用のフレームワーク」と題して講演。クラウドコンピューティング分野の技術やサービスの動向を解説するとともに、クラウドサービスが進展するなかでIT部門が果たすべき役割を提言した。

 カーリー氏は、企業におけるシステムアーキテクチャーは「ハイブリッドIT」に向かっていると説明する。ハイブリッドITとは、プライベート型のクラウドやパブリック型のクラウドを、従来型の自前の情報システムと組み合わせて利用する形態のことを指す。

 自前/プライベートクラウド/パブリッククラウドのどれが望ましいかは、それぞれの業務の中身によって異なる。カーリー氏は「その業務で扱うデータの重要性や機密性といった特性に着目すれば、どれが適しているかが見えてくる」と語る。

 一見データや業務の中身から機密性が高いように思われる業務にパブリッククラウドを適用できる場合もあるという。カーリー氏によれば、米国防総省関連のある組織は、情報解析システムのプロトタイプを開発するのに米アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を一部で活用した。大規模並列処理が必要な部分だけをAWSに任せ、重要なシステム領域は自社に置いた。必要に応じてデータには暗号化をかけた。

 これにより、効率的なシステム開発が可能になったという。カーリー氏は「リスクがあるからといって、パブリック型のクラウドサービスをまったく使わないという判断は合理的ではない。リスクと信頼性を評価して適切に使えば、大きなメリットが得られる」と語る。

適切なアーキテクチャーを選び、機能などを見極める役割に

 こうしたリスクと信頼性の評価においては、システム関連の知識やノウハウはもちろん、各業務領域の知識、法務部や広報部と連携したリスク管理、経営者による経営判断が欠かせない。カーリー氏は「IT部門の役割はまさにここにある」と指摘する。IT部門はテクノロジーを知り、いずれの業務部門ともシステムという切り口から関わりを持つからだ。

 「『社内の各部門、そして外部のクラウド事業者とのインタフェースになり、業務ごとに望ましいシステムアーキテクチャーを選択できるようにする』『必要に応じてID管理やセキュリティなどのサービスを加えていく』といった仕事は、社内のIT部門以外にはできない」と強調した。

 またカーリー氏はIT部門に対して「しばしばクラウドサービスを採用するメリットとして『コストの節約』が語られるが、必ずしもコストが下がるわけではない」と強調。「クラウドの価値はむしろアジリティ(俊敏性)にあると認識すべき」と語る。

 「素早くシステムを立ち上げられて、柔軟に拡張でき、すぐに廃棄できる。これはビジネスに大きなインパクトを与える。こうした観点からビジネスとクラウドの関係をとらえるべきだ」(カーリー氏)。

 例としてカーリー氏は、米3MがWeb分野の新技術を検証する際にAWSを活用した事例を挙げた。新技術が持つサービス事業としての可能性を、コストや手間を抑えながら確認できたという。