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クラウド部会による「安否確認システムの共同開発・共同運営における現状と課題」と題したセッションの様子
クラウド部会による「安否確認システムの共同開発・共同運営における現状と課題」と題したセッションの様子
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「manavee.com」を運営する花房孟胤氏が登壇
「manavee.com」を運営する花房孟胤氏が登壇
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 大学ICT推進協議会(AXIES)は2012年12月19日、兵庫県神戸市の神戸国際会議場で開催した2012年度年次大会で、大学におけるクラウド活用やオンライン教育についてのセッションを開催した。AXIESのクラウド部会が会員大学のシステム共同開発に取り組むことなどが明らかになった。

 AXIESの分科会の1つであるクラウド部会が、「安否確認システムの共同開発・共同運営における現状と課題」と題したセッションを開催した。京都大学情報環境機構IT企画室の梶田将司教授が、AXIESの活動として開始する安否確認システムの共同開発・運用プロジェクトの内容を説明した。

 共同開発するのは、大規模災害やパンデミック発生時に学生や職員への緊急連絡や安否確認が可能なシステム。AXIESの調査では、安否確認システムを整備している大学は3分の1程度で、検討中の大学や、導入予定がない大学が多いことが分かっている。

 安否確認システムはどの大学でも必要なシステムであることから、それを共同開発・運用することで、負担を軽減するのが狙いだ。AXIESとして、初めての共同開発プロジェクトになる。

 「メールアドレス登録アプリケーション」「安否情報収集アプリケーション」「メッセージ発信・集計アプリケーション」の3つのアプリケーションを開発する。また大規模災害時にも機能させることを想定し、クラウド型の分散データベース基盤も構築する。オープンソースのLMS(ラーニングマネジメントシステム)用ソフトウエア「Sakai」や、非同期処理が可能なWebサーバーソフト「Node.js」などを利用して開発する。

 開発したシステムは、クラウドで運用する。共同利用した場合、地震などの災害時に大規模アクセスが発生する可能性があるためだ。

 すでに開発体制などについては議論をしており、2013年1月から2月にかけて、開発作業を進める。各大学における災害訓練などで実際に使ってみた上で、2013年12月には、開発したソースコードを公開する計画。各大学には、開発者やサーバー環境について、協力を求める。

OERについても活発に議論

 「Open Education Resource―世界の動き、日本の取り組み」と題し、オンライン教育に関するセッションも開催された。OER(Open Education Resource)とは、学習内容や教材などを誰でも自由に使えるようにする取り組みのこと。大阪大学の竹村治雄教授がオーガナイザーを務め、大学や非営利団体関係者が、海外で活発化する無料オンライン授業提供の動きや、国内の課題について、議論を交わした。

 パネリストとして参加したのは、京都大学の土佐尚子教授、放送大学の山田恒夫教授、東京大学の重田勝介助教、著作権を運用する非営利団体クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの渡辺智暁理事で、大学における教材・授業オープン化の取り組みや課題などについて、意見を述べた。

 最後に登壇したのは、「manavee.com」を運営する花房孟胤氏である。manavee.comは、高校レベル、大学受験レベルの授業を無料で動画配信するサイト。講師は、教職志望の大学生が務める。SNS機能などを取り入れており、2700以上の授業コンテンツ、1万人以上のユーザーを抱える。

 壇上に立った花房氏は、「教育の機会均等は保障されていない。大学受験には、経済的、地理的な格差が存在する」と指摘。manavee.comを立ち上げた背景を語った。

 ほかのパネリストからは、「高齢者向けなど、大学受験以外の内容を配信する考えはないのか」「若者が若者向けにコンテンツを作っているからこそよい」といった、manavee.comへの質問や意見が相次いだ。

 AXIESでは分科会の一つである学術・情報コンテンツ共有流通部会で、今後もOERについての議論や情報共有を進めていく。