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写真1●パネルディスカッションの様子。一番左はモデレーターを務めたITジャーナリストの新野淳一氏(写真:井上裕康)
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写真2●アイレットの後藤和貴cloudpackエバンジェリスト(写真:井上裕康)
写真2●アイレットの後藤和貴cloudpackエバンジェリスト(写真:井上裕康)
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写真3●キヤノンソフトウェアの雨宮秀和新規事業推進本部本部長(写真:井上裕康)
写真3●キヤノンソフトウェアの雨宮秀和新規事業推進本部本部長(写真:井上裕康)
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写真4●ナレッジコミュニケーションの奥沢明代表取締役CEO(写真:井上裕康)
写真4●ナレッジコミュニケーションの奥沢明代表取締役CEO(写真:井上裕康)
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 システム開発において、パブリッククラウドサービスの活用を前提とする「クラウドファースト」の時代に、システム開発やWebサイト構築、ソフトウエア開発のビジネスはどう変わるのか。

 2013年2月27~28日に都内で開催中の「Cloud Days Tokyo/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット」(主催:日経BP社)では、「クラウドファースト時代のビジネス構造の変化と求められるベンダー像」と題してパネルディスカッションが開かれた(写真1)。

 登壇者はアイレットの後藤和貴cloudpackエバンジェリスト(写真2)、キヤノンソフトウェアの雨宮秀和新規事業推進本部本部長(写真3)、ナレッジコミュニケーションの奥沢明代表取締役CEO(写真4)。いずれもAmazon Web Services(AWS)が提供するパブリッククラウドサービスを利用して、ITサービス分野のビジネスを展開している企業である。

 モデレーターを務めたのは、ITジャーナリストの新野淳一氏。新野氏による「クラウドビジネスに参入した結果、あるいは自社ビジネスにクラウドサービスを組み込んだ結果、自社のビジネスはどう変化しつつあるか」という問いに対し、ナレッジコミュニケーションの奥沢氏は「顧客企業に提供できるサービスの幅が広がった」と答えた。

 ナレッジコミュニケーションは主に教育業界を中心に、システム開発やWebサイト構築サービスを提供している。また、AWSが提供するクラウド基盤の導入・運用支援サービス「ナレコムクラウド」も提供中だ。

 「構成変更がすぐにできる、検証しやすいといった(パブリッククラウドの)柔軟性の高さやスピード感は、開発者としてのメリットであるだけでなく、提供先である顧客にとってのメリットでもある。双方が同時にメリットが得られるというのが、従来型のシステム基盤とは大きく異なるポイントだ」(奥沢氏)。

パブリッククラウドでビジネスが広がった

 キヤノンソフトウェアの雨宮秀和氏(新規事業推進本部本部長)も同じ意見だ。「クラウドインフラを取り込み、クラウド型のサービスを用意することで、新たな市場が広がった」と語る。

 同社はWebアプリケーションの開発基盤をクラウド環境で提供するサービス「Web Aviator」を展開している。クラウド基盤としてAWSを使っており、開発したアプリケーションはAWS環境上にデプロイ(展開)できる。2011年12月から販売を始め、2012年9月には機能を拡充した新バージョンの提供を始めた。

 「従来からオンプレミス型の開発基盤(製品名は「Web Performer」)を提供してきた。しばしば既存の製品と競合しないかと聞かれるが、今のところ、既存製品には悪い影響はない。むしろ、クラウド型の開発基盤を提供し始めたことで、『外出している営業パーソン向けのモバイルアプリを作りたい』とか、『自社向けのシステムをネット経由で他社にも提供できるようにしたい』という新しい顧客ニーズに応えられるようになってきた」(雨宮氏)。

競争力の源泉はクラウドノウハウと課題解決力の融合

 「(AWSを使うことで)顧客が持つビジネス課題に対して、アプローチできるようになった」と話すのはアイレットの後藤和貴氏(cloudpackエバンジェリスト)。同社は企業の電子商取引サイトやキャンペーンサイトの開発を手がけており、「ユニクロ」など大手企業およびブランドのサイト構築実績も持つ。AWSのサービス提供が始まった初期の頃から、Webサイト構築ビジネスにAWSを活用してきた。この運用ノウハウを転用して、AWSによるクラウドサービスの導入・運用支援サービス「cloudpack」も提供している。

 「BtoCのサイトではアクセスの変動が大きい。構成を素早く拡張できるAWSを使うことで、ビジネスレベルでの要請や課題に応えられるソリューションが用意できるようになった。これはサービス提供者としては(競合他社に対する)大きなアドバンテージになる」(後藤氏)。

 キヤノンソフトウェアの雨宮氏も「ハードウエアのサイジングにまつわる悩みから解放されるのは、SIベンダーにとっても、顧客企業にとってもうれしいことだ」と強調する。

 「SIベンダーにとって悩ましいのは、ハードウエアのサイジングだ。システムがどう成長するのかを最初から予測するのは難しい。だからといって最初から過大なスペックのシステムを顧客に売りつけるわけにはいかない。逆に、過小なスペックのハードウエアを納めた結果、顧客企業のシステムが処理をさばけなくなるという事態も避けなければならない。パブリッククラウドを活用すればこうした難しさから解放される」(雨宮氏)。

 アイレットの後藤氏は「最近は顧客自身もクラウドのことをよく勉強していて、クラウドの利用を前提とした提案の要請や、クラウドのメリットを生かしたシステムを構築したいといった相談を受ける機会が増えた」と語る。一方で「クラウドをビジネスで使いこなすためのノウハウがきちんと整理されているとは言いがたい。そうしたノウハウを持つベンダーを顧客は求めている」と指摘する。

 「ビジネスで効果を出すクラウドテクノロジーのノウハウをどれだけ蓄積できるかが、サービス提供者の差異化のポイントになるのではないか」と後藤氏は発言した。