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 米グーグルは2013年5月16日、量子力学の原理を使って高速演算を行う「量子コンピューティング」を、ウェブ検索や音声認識などに応用することを目指す研究所を立ち上げたことを明らかにした。

 研究所の名前は「Quantum Artificial Intelligence Lab(量子人工知能研究所)」で、米航空宇宙局(NASA)のエイムズ研究センター内に立ち上げる。学術団体の大学宇宙研究協会(USRA)を通じ、世界中の科学者が研究に参加できるようにする。

 研究所には、カナダD-Wave Systemsが開発した商用の量子コンピュータを設置する。D-Wave Systemsは、従来とは異なる新しいタイプの量子コンピュータを開発している企業。数学上の問題を、ある量子系が最も低いエネルギー状態に落ち込む物理現象へとマッピングする手法で、最適解を導くという。

 研究所を立ち上げた米グーグルの狙いは、人工知能の一研究分野である「機械学習」に量子コンピューティングを応用すること。機械学習は、音声認識やウェブ検索、クルマの自動運転からコンピュータ将棋まで、幅広い分野で応用が進んでいる。

 ただし、機械学習を活用したアプリケーションには、数学者が「NP困難」と呼ぶアルゴリズム上の困難がついて回る。選択肢の数が多いと、計算量が指数関数的に増大し、正解が導けなくなる問題である。

 このNP困難を回避する策として期待されるのが、量子コンピューティングである。量子コンピューティングの特徴は、NP困難の問題でも、実時間で解けるアルゴリズムが存在する点である。「我々は、量子機械学習が、既知の物理法則に従って、最もクリエイティブな問題解決プロセスを示してくれるかもしれない、と考えている」(Googleのリサーチブログ)。

 グーグルは既に、量子コンピュータを使った機械学習のアルゴリズムをいくつか開発したとする。そのうちの一つは効率的な認識アプリケーションで、モバイルデバイスのような電源容量に限りがある端末にも応用できるという。