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記者発表会の様子。説明者は、ARM社 Chief Marketing Officer and EVP Business DevelopmentのIan Drew氏。
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ミッドレンジ市場を狙う
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新しいIPコア群を発表
新しいIPコア群を発表
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CPUコア「Cortex-A12」の概要
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GPUコア「Mali-T622」の概要
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動画処理用IPコア「Mali-V500」の概要
動画処理用IPコア「Mali-V500」の概要
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ファウンドリー2社の28nmプロセスに対応するPOPを提供
ファウンドリー2社の28nmプロセスに対応するPOPを提供
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 英ARM社は2013年6月3日、「COMPUTEX TAIPEI 2013」(2013年6月4~8日、台湾・台北市)に合わせて台北市内で記者会見を開催し、ミッドレンジ(普及価格帯)のスマートフォンやタブレット端末に向ける新しい32ビットCPU(プロセサ)コア「Cortex-A12」を発表した。同社の従来の32ビットCPUコア「Cortex-A9」に比べて消費電力が同じ条件での動作周波数を40%高めるとともに、処理負荷に応じて異なるCPUコアを切り替えて動作させる「big.LITTLE」技術に対応させた。同社は併せて、新しいGPUコア「Mali-T622」と動画処理用IPコア「Mali-V500」を発表した。これらの新しいIPコア群を搭載するモバイル端末は、2014年内に市場投入される見通し。ARM社がCPUコアやGPUコアの新製品をアジア地域で発表するのは、今回が初めてという。

 今回発表したIPコア群は、これまで主にプレミアム価格帯のモバイル端末で採用されてきた仮想化技術やbig.LITTLE技術、高級なグラフィックス処理などを、普及価格帯の端末に浸透させることを狙ったもの。ARM社によれば、普及価格帯のスマートフォンとタブレット端末の年間出荷台数は、2015年に合計で5億8000万台に達する見通し。同年には、普及価格帯のスマートフォンとタブレット端末の合計出荷台数がプレミアム価格帯のそれをしのぐという。同社は「端末価格が200~350米ドルの市場が、我々にとってクリティカルになる」(ARM社 Chief Marketing Officer and EVP Business DevelopmentのIan Drew氏)として、普及価格帯の端末向け事業を重視する姿勢を示した。今回、CPUコアと併せてGPUコアや動画処理用IPコアを発表したのは、普及価格帯の端末では「CPU単体の性能以上に、システム・レベルの性能やコストが重視される」(同氏)との考えからだ。

 Cortex-A12では、Cortex-A9の内部構造(マイクロアーキテクチャ)を踏襲しつつ、全体の設計を見直して性能向上を図った。Cortex-A12と「Cortex-A7」を同一チップに集積した場合に、処理負荷に応じて両コアを切り替えて動作させるbig.LITTLE技術に対応可能である。従来は、「Cortex-A15」とCortex-A7の組み合わせでbig.LITTLE技術に対応してきた。

 ARM社によると、Cortex-A12は性能的にCortex-A9とA15の間に位置付けられるものの、2015年ごろのモバイル端末市場を考えると、64ビット実行モードに対応させたCPUコア「Cortex-A57」(高速版)と「Cortex-A53」(低電力版)の間に位置することになるという(A57とA53は2012年11月に発表済み)。具体的には、Cortex-A57がプレミアム価格帯、Cortex-A53が低価格帯のモバイル端末に採用されていくと見込んでおり、Cortex-A12はその中間の価格帯の端末に向けるという位置付けだ。

 Mali-T622は、3Dグラフィック用APIの最新バージョン「OpenGL ES 3.0」に対応させたGPUコアで、同社の従来のGPUコア「Mali-T600」に比べてグラフィックス処理のエネルギー効率を50%高めた。動画処理用IPコアの新製品として投入するMali-V500では、システムに必要なメモリのバンド幅を従来比50%低減できるという。このIPコアを使えば、シングル・コア構成の場合に1080pの動画を60フレーム/秒で符号化/復号化でき、マルチ・コア構成にすれば4K(4000画素×2000画素級)の動画を120フレーム/秒で符号化/復号化できるとしている。

 ARM社は今回発表したIPコア群に関する初期パートナー企業として、台湾のSoCベンダーであるVIA Telecom社や、Siファウンドリー大手の米GLOBALFOUNDRIES社の名前を挙げている。Cortex-A12とMali-T622はともに、当初は28nm世代の製造技術を適用することを想定しており、Cortex-A12はGLOBALFOUNDRIES社の「GF28-SLP」プロセスと台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)の「28HPM」プロセス、Mali-T622はTSMCの28HPMプロセスのサポートを受けることが決まっている。ARM社はこれらのプロセス技術に対応した、Cortex-A12やMali-T622のPOP(Processor Optimization Package)も提供する。POPはARMが提供するIPコアのRTLデータをマスクレイアウト・データに落とし込む設計(ハードニング)に必要な情報を集めたパッケージである。