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写真●マイナンバー制度が企業に及ぼす影響を解説したNRIの梅屋真一郎氏
写真●マイナンバー制度が企業に及ぼす影響を解説したNRIの梅屋真一郎氏
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 野村総合研究所(NRI)は2013年6月5日に記者説明会を開き、2016年1月に社会保障・税分野で導入される「共通番号(マイナンバー)」制度が企業活動に及ぼす影響を考察した結果を公表した。金融業界のほか、従業員の給与支払いや企業年金などを管理している一般事業会社にも相当の業務負担が生じるとしており、早期に検討を始めるべきだと提言している。

 マイナンバー制度では、国民一人ひとりを識別するための「個人番号」を割り当て、2015年秋に市町村を通じて一斉に番号を通知する。金融業界は番号通知後に、株式配当益や保険金支払いなど国税庁に提出する法定調書に個人番号を記載するために、証券口座や保険契約などについて顧客に個人番号の申告を案内して受け付ける業務が発生する。一般企業でも、従業員の給与支払いを国税庁や地方自治体に報告したり企業年金や健康保険の支払い・給付を管理したりするために、従業員に個人番号を申告してもらう。

 NRIはこの申告作業などの手続きや業務対応を考察し、金融機関と一般事業会社ともに相当の業務が発生すると分析した。「番号申告を案内し、申告用の書類を配布・管理する」「申告を受け付ける際に、身分証で身元を確認する」「申告書類を確認して、不備がある場合は再提出してもらう」などの作業を2015年秋~年末までに集中して実施する必要があるからだ。

 一般事業会社の影響を分析した制度戦略研究室の梅屋真一郎室長(写真)によると、企業が番号を集める対象者は給与所得人口4700万人とその扶養家族。梅屋氏は企業での業務工数なども試算し、従業員1万人の企業での事務時間は延べ1万時間で、付随する作業なども含めると100人月程度の作業が発生するとした。コストにして数千万円~数億円に相当する。さらに人事給与システムを個人番号に対応させる改修が必要で、そのコストは数百万円から、システムを抜本的に見直す場合は数億円に上る可能性があると指摘した。

 さらに梅屋氏は、個人番号付きの書類、例えば企業年金や健康保険などの異動届、源泉徴収票などは厳格な情報管理が必要になり、教育や周知徹底などを含めて従業員1万人の企業では年間数千万円のコストが発生すると見積もった。情報管理を厳しくするため、個人番号付きの書類はIT化も検討するべきだと提言している。

 一方、金融業界の影響を分析した金融・社会システム研究室の広瀬真人室長によると、対象となる金融業界の個人顧客の件数は、証券の個人口座2104万口座に加え、生損保では生命保険の1億2000万契約に民間年金や自動車保険、火災保険などを加えると累計で2億6000万契約を超えるという。法人口座でも、法人番号を集めて同様の手続きを踏む必要があり、法人の定期性預金570万口座や法人の証券口座46万口座が対象になるとしている。