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 東京都に本店を置く地方銀行の東京都民銀行と八千代銀行が経営統合に向けて協議をしているとの一部報道について、両行は2013年8月5日、「現時点で決定した事実はない」(都民銀広報)「現時点で発表できる具体的な事実はない」(八千代銀広報)とのコメントを発表した。

 今後の行方は不透明ではあるが、経営統合によって情報システムを一本化できれば、ITコスト削減などの合理化効果を得られるのは確実だ。特に首都圏を地盤とする両行にとっては、メガバンクや大手地銀などとの熾烈な競争を勝ち抜くための戦略的なIT投資の確保につながる。

 都民銀はNTTデータが提供する勘定系システムの共同利用サービス「STELLA CUBE」を利用している。一方の八千代銀行はNEC製オープン勘定系パッケージ「BankingWeb21」を使い自前のシステムを稼働させている。

 経営統合が実現した場合、考えられるシステム統合案は2つだ。1つは都民銀が使うNTTデータのSTELLA CUBEに八千代銀が合流する方策。両行が同一の共同システムを使うことにより、システム統合を果たしたのと同じ効果を得るやり方だ。ほくほくフィナンシャルグループ傘下の北陸銀行と北海道銀行などが、この方式を採用している。

 もう1つは、八千代銀が使うNEC製システムへの移行だ。自前のシステムを残す方策であり、この場合は都民銀がSTELLA CUBEを脱退することになる。

 どちらの案にしても、NTTデータとNECのどちらかが既存顧客を失うことになる。それだけに、両社の関係者は経営統合協議の行方を注視していることだろう。

 都民銀と八千代銀は共に、新サービス/システムの「第1号ユーザー」同士であることも興味深い。都民銀は2011年10月、STELLA CUBEのサービス開始に合わせて、同サービスの利用を始めた。一方の八千代銀は2003年5月、BankingWebを初稼働させた。地銀クラスで初めて、メインフレームを1台も使わずオープン系サーバーだけで勘定系システムを動かすことに成功した。

 一般に、第1号ユーザーは利用サービス/システムに対する思い入れが強い。ITベンダーにシステムの要件を提供したり、ITベンダーが主体的に進める設計やテストなどに協力したりすることが多いからだ。

 都民銀と八千代銀が経営統合を決めた時、NTTデータとNECの顧客争奪戦がスタートする。