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写真●特徴コードによる手のひら静脈認証技術の応用例(出典:富士通研究所)
写真●特徴コードによる手のひら静脈認証技術の応用例(出典:富士通研究所)
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 富士通研究所は2013年8月5日、生体認証情報(手のひら静脈のパターン)を「0」と「1」に変換して、固定長ビットの認証用データ「特徴コード」を生成する技術を開発、2015年の実用化を目指すと発表した(写真)。一つの生体からいくつもの独立した認証用データを生成できるもので、従来方式の場合は認証用データが漏えいすると生体情報の代わりとなる危険があったが、新方式の場合は認証用データが漏洩しても生体情報の代わりにはならない。

 新方式は、手のひら静脈のパターンから特徴成分を抽出。これを単純に「0」と「1」に変換して、認証用データである「特徴コード」を生成する。変換条件を変更すれば、異なる特徴コードを生成できる。特徴コードから生体の特徴を生成/類推することは困難であり、特徴コードが漏洩した場合は、異なる変換条件を設定して特徴コードを再度作りなおせばよい。

 これに対して従来の方式では、手のひら静脈のパターンを線データの重なりなどと捉え、手のひら静脈画像の特徴を類推できるリッチな情報を保ったままで認証用データを保存する。このため、認証用データは生体情報(手のひら静脈のパターン)の代わりとなる危険があり、漏洩に注意しなければならなかった(この理由から、認証用データは暗号化して保存される)。

計算量と性能のバランスに優れる

 もちろん、従来方式であっても、新方式のように変換条件に基いてデータを変換してしまえば、認証用データが漏洩しても、生体情報を類推できなくなる。ただし、この場合は、単純な数値計算だけで済む新方式とは異なり、パターンの照合処理に多くの時間を消費する。一般的なパソコンの場合、新方式では約1マイクロ秒で処理できるのに対して、従来方式では約1000倍となるミリ秒単位の時間がかかる。

 一方、新方式のデメリットは、他人を本人であると誤認識する「他人受入率」と、本人を本人ではないと誤認識する「本人拒否率」が、ともに従来方式よりも劣ってしまうことである。認証用データ(特徴コード)を2048ビット長とした場合、他人受入率は10万分の1程度となり、従来方式(1000万分の8)と比べて1桁も違ってしまう。本人拒否率は、1回の施行で数%であり、従来方式(2回の施行で0.01%)よりも多い。

 なお、新方式では、特徴コードの抽出再現性を高めるために、手の輪郭情報を用いて、手のひら静脈画像の位置補正や形状補正を行っている。また、多少の位置ずれや変形があっても影響を受けにくくするために、特徴コードを抽出する際には、画像の各部分での情報量に応じて画像領域を分割し、分割した領域から特徴成分を抽出している。